国文学研究資料館が世田谷文学館所蔵 「梅崎春生自筆資料」のデジタル画像公開 | 国文学研究資料館
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2026/04/10
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国文学研究資料館が世田谷文学館所蔵 「梅崎春生自筆資料」のデジタル画像公開
プレスリリース「国文学研究資料館が世田谷文学館所蔵 「梅崎春生自筆資料」のデジタル画像公開 戦後小説の創作方法を照らし出す資料群」
2026/4/10
国文学研究資料館が世田谷文学館所蔵
「梅崎春生自筆資料」のデジタル画像公開
戦後小説の創作方法を照らし出す資料群
国文学研究資料館(以下「国文研」)は、2025年より世田谷文学館(東京都世田谷区)が所蔵する梅崎春生自筆資料21点(計1,270枚)の高精細デジタル化に取り組み、2026年3月31日に国文研の「国書データベース」にて公開しました。「第一次戦後派」の代表的作家である梅崎春生の自筆資料コレクションは、第二次世界大戦後の日本社会をいかに描くかという、文学史・社会史の大きな課題について知るための重要資料群です。
梅崎春生(1915~1965)は福岡県に生まれました。熊本の第五高等学校、東京帝国大学文学部国文科を卒業後に応召、鹿児島・桜島にて終戦を迎えます。戦争体験を描いた『桜島』や兄・梅崎光生の応召経験を材とした『日の果て』などにより「第一次戦後派」として脚光を浴び、のちに『ボロ家の春秋』『幻化』『狂い凧』など、戦後社会にひそむゆがみや幻想を描く作品を発表しました。どこかユーモラスな、しかしそれゆえに社会通念の奥にあるものを深くえぐりだす梅崎の文体は、今日なお多くの作家・読者に愛されています。
梅崎春生の原稿は、梅崎がかつて世田谷に居を構えていた縁で、梅崎夫人の故・梅崎恵津氏より世田谷文学館が寄託を受け、その後、2024年にご子息の梅崎知生氏によって同館に寄贈されたものです。
戦争を経験し、戦後の日常が変化してゆくさまを描いた梅崎の原稿は、風化しつつある戦争と戦後の記憶をあらためて呼び起こすための貴重な資料でもあります。今回の公開にともない、世田谷文学館所蔵の梅崎春生自筆資料を、「国書データベース」上で既に公開されたかごしま近代文学館所蔵「梅崎春生特別資料」のうち自筆原稿3点(計366枚)とともに、横断的に閲覧することも可能になりました。世田谷文学館と国文学研究資料館との協力・連携のもと進めたデジタル化の取り組みにより、梅崎の自筆資料のインターネットを通じた検索・閲覧が「いつでも、どこでも、どなたでも、そして無料で」可能になりました。
■デジタル公開の意義
高精細画像によって公開される草稿は1950年から最晩年の1965年にかけて執筆されたもので、梅崎春生が自らのテーマを掘り下げていった過程を読むことができます。
戦後のスランプとされる時期に中絶した連作『日時計』と『殺生石』(1950年)の草稿にはおびただしい推敲の痕があり、作家の挑戦のなまなましい現場を示しています。長篇『砂時計』(1954~1955年発表)草稿は章番号が活字版の章番号とは異なっており、構想の変化を示唆するものです。主人公が書いた小説のモデルだと主張する青年があらわれる『モデル』(1960年)、タクシー運転手との奇妙な経緯を描いた『記憶』(1962年)など、〈取りちがえ〉の面白さを存分に味わえる短篇の草稿も公開されました。
長篇『狂ひ凧』(1963年発表、1964年芸術選奨文部大臣賞受賞)は、戦地で亡くなった双子の弟の記憶を追う男と、その友人である「私」の物語。推敲は少ないものの、草稿最終ページの貼り込みには、見えざる作家の苦闘のあとを見ることができます。『狂い凧』の一部に組み込まれた短篇『駅』(1961年発表)の草稿も今回公開され、活字の本文とあわせて比較することができます。
なお今回の画像公開は、国文研の事業「近代文献草稿・原稿類に関する所在目録調査と研究」の一環であり、すでに公開している「島尾敏雄特別資料」「梅崎春生特別資料」(かごしま近代文学館蔵)・「森田思軒自筆原稿資料」(笠岡市教育委員会管理)・「中原中也自筆資料」(中原中也記念館蔵)・「武者小路実篤自筆資料」(武者小路実篤記念館)・「上野英信自筆資料」(福岡市立総合図書館蔵)・「⼭村暮⿃⾃筆資料」(暮⿃会所蔵、茨城県⽴図書館寄託資料)・「島崎藤村「夜明け前」直筆原稿」(藤村記念館(馬籠)所蔵)とともに見ることで、近代文学における「自筆資料」の具体的な姿を知ることができます。
〈本件に関するお問い合わせ〉
・国文学研究資料館 管理部総務課 広報企画室
E-mail: jigyou@nijl.ac.jp /TEL:050-5533-2984 / FAX:042-526-8604
・世田谷文学館
TEL:03-5374-9111 / FAX:03‐5374‐9120 HP:
※メールの場合は世田谷文学館HPのお問い合わせフォームよりご連絡ください。
■梅崎春生『殺生石』草稿
※1950年7月号、9月号、12月号「群像」掲載。『日時計』(1950年4月号「群像」)にはじまる連作長篇として構想されながら、『殺生石』までを「第一部」とし て終わった作品。おびただしい訂正痕がある。
(https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/300115442/6?ln=ja)
■梅崎春生『砂時計』草稿
※1954年8月号~1955年7月号「群像」掲載。草稿は「5」章から始まるが、これは現行の章番号とは異なる。
(https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/300115440/90?ln=ja)
■梅崎春生『記憶』草稿
※「群像」1962年7月号掲載。ある晩乗り込んだタクシーの運転手とのやりとりを軸に、登場人物それぞれの記憶が食いちがう様を描く作品。
(https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/300115453/2?ln=ja)
■梅崎春生『狂ひ凧』草稿
※『狂ひ凧』は「群像」1963年1月号から5月号まで「狂い凧」の題名で連載。冒頭のタイトル上部に「分身/骨/歳月」とメモがあり、作品の原構想がうかがえる。梅崎は『日の果て』のプロトタイプとなった『独楽』(かごしま近代文学館「梅崎春生特別資料」)でも、同じくタイトル上部に構想メモを記している。「群像」1961年7月号掲載の『駅』を取りこんだ箇所があるが、『狂ひ凧』に取りいれる際、『駅』の細かい設定には変更が加えられた。
(https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/300115460/1?ln=ja)
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