社会的再生産理論(SRT)を手かがりに読み解くコロナ禍 社会的再生産理論(SRT)を手かがりに 読み解くコロナ禍 お茶の水女子大学教授 申 琪榮 本稿はコロナ禍で明らかになった社会的再生産領域の危機の実態を体系 的に理解することを目的とする。生産・再生産領域を一つの体系的な資本 主義システムとして理論化した「社会的再生産理論」 (Social Reproduction Theory: SRT)を手かがりに、コロナ禍で顕著になった危機は、すでにそ の前から蓄積されていたジェンダー化されたグローバル資本主義社会の弊 害の必然的な帰結であり、再生産能力の枯渇はパンデミック禍以前からも たらされていたことを確認する。そして移民労働者を受け入れて社会的再 生産コストを抑えてきた欧米と比べて、日本は自助への促しと自国の根強 いジェンダー秩序に依拠して社会的再生産の危機に対処してきたことを指 摘し、それゆえ危機を解消するためにはジェンダー関係の抜本的な変革が 不可欠であることを論証する。 キーワード:社会的再生産、枯渇、コロナ禍、資本主義、 フェミニズム 年報政治学 2022–Ⅰ 2022 年 6 月:pp.35–52 ©Japanese Political Science Association 2022 Printed in Japan 35 36 年報政治学 2022 – I号 1.新型コロナ禍が露呈させた ジェンダー化された危機 2020 年から続く新型コロナ禍は、家族、医療、ケア、教育といった社 会的再生産領域に大きな負担を強いることになった。急速な感染の広がり によって医療現場が逼迫し、それを防ごうとロックダウンやステイホーム が頻繁に要請された。クラスター発生を防ぐ目的で行われた休校・休園、 経済活動の抑制によって、家庭は生活と仕事、教育と在宅医療までを担う 空間となった。社会を維持するためのコストが個人や家族(主に女性)に 転嫁され、家庭は社会の防波堤となることを余儀なくされた。 フェミニスト研究者らは、このような状況がもたらしうるジェンダー化 された影響について早くから警鐘を鳴らした[1]。家事やケアなど家庭内の 労働を女性が主に担っていること、家庭が必ずしも暴力から安全な空間で ないこと[2]、また、新自由主義の影響が強まる中、女性労働が短時間、低 賃金の仕事に集中していることなど、コロナ禍以前から存在していたジェ ンダー不平等な構造がコロナ禍によってさらに深刻化することが予測され たからだ。 実際に、2020 年 3 月から 4 月に、コロナ対策として初めて全国規模で取 られた小・中・高校の一斉休校の影響は子どものいる女性に重くのしかか った。この時期に男女ともに就業者数が減ったが、女性の就業者数が男性 より大幅に減少した(男性 39 万人減、女性 70 万人減と、女性が男性より 1.8 倍も多かった) 。中でも子どものいる女性の就業者数が最も減り(Zhou 2021) 、シングルマザーは収入が激減して生活の困窮が深刻化した[3]。子 どもや高齢者のケア負担が家族に強いられ、ケア責任を担わされてきた女 性が休業を「選択」せざるを得なくなったからである。このような状況は 就業率の回復における男女差にも見られ、女性の就業者数の回復は男性よ りスピードが遅い。 本稿はこのようなコロナ禍で明るみに出た社会的再生産のジェンダー化 された危機に着目して、それを体系的に読み解く手がかりを提示すること を目的とする。これまでの政治学の先行研究では、危機に対する国別対応 社会的再生産理論(SRT)を手かがりに読み解くコロナ禍 37 の違いを解明しようとしたものが多く、とりわけ、コロナ禍の危機が民主 主義を後退させるのか、あるいは政治体制(民主主義・権威主義)がコロ ナ禍の対処にどのような効果をもたらすのかに関心が集まっていた(Frey et al. 2020, Stasavage 2020 など) 。また政府の具体的な対策の効果や、女性 政治リーダーの役割も注目された(Piscopo 2020, UN WOMEN 2020, Abras et al. 2021) 。しかしこれらの研究は国家の役割の重要性を示唆しているも のの、事後的な政策の有効性を分析しており、コロナ禍のジェンダー化さ れた危機の実態を構造的に説明するものではない。対策の長期的な有効性 を評価するためにもまず危機の実態を理解することが必要であろう。 そこで本稿は、フェミニスト政治経済学の「社会的再生産理論」 (Social Reproduction Theory: SRT)を手がかりに、コロナ禍であらわになったケア や生活の危機的状況を、ジェンダー化された資本主義社会がもたらす再生 産の危機として読み解く。以下の本文では、第一に、SRT が提示する分析 視座を検討した上で、第二に、社会的再生産領域の危機との関わりを中心 に国家の役割について検討する。コロナ禍は資本主義国家に共通する社会 的再生産の危機を表面化させたが、再生産領域に対する各国の対応は一様 ではない。欧米では再生産領域のグローバル化と市場化を進め、グローバ ルサウスからの移民労働に頼って緩和させてきた(そしてグローバルサウ スにその危機を転嫁した)ことに対して、日本では、再生産領域に対する財 政支出抑制と頑ななジェンダー秩序に依拠して女性労働を低評価すること で社会的再生産の危機に対処しようとしてきた。資本主義と国家の共存を 支える柱としてジェンダー関係に注目することで、再生産危機を解消するた めにはジェンダー関係の抜本的な変革が不可欠であることを明らかにする。 2.「社会的再生産理論(SRT) 」の視座 社会的再生産理論(以下 SRT)は 1970 年代以降フェミニスト政治経済 学の主要アプローチの一つとなっている。マルクスの資本論を参照しなが ら、フェミニズムの視点から生産労働中心の資本論を修正しようとするも の で あ る(Vogel 2013) 。SRT の 核 心 的 主 張 は、 「 人 間 の 労 働(human labor) 」こそが社会の生成や再生産の中核である、ということである。資 38 年報政治学 2022 – I号 本主義が市場経済における生産労働のみを正当な労働の唯一の形態として 捉えていることに対して、SRT は、労働者、もっと具体的には、労働者の 労働力を維持・再生産させるための「労働」について考察するものであ る。初期の議論は家事労働が焦点だったが、近年は家庭や家事労働に限 らず、人間の生きる営み全てに関わる個人、家族、社会の諸活動を社会 的 再 生 産 と し て 捉 え、 グ ロ ー バ ル 資 本 主 義 の 分 析 ま で 射 程 を 広 げ た (Ferguson 2019)。 資本主義生産様式の中では、労働力が利潤の源である。しかし、マルク スは、商品としての労働力は資本主義生産様式で生産される他の商品とは 異なって、資本主義的生産プロセスによって生産されない、という点で特 異 で あ る と し な が ら も、 そ の 知 見 を そ れ 以 上 考 察 し な か っ た(Vogel 2013) 。例えば、資本は常に健常な状態の労働力を所与のこととして求め るが、労働力は自然には再生産されない。労働者が 1 日の労働を終えて、 明日また元気を取り戻して仕事場で働けるようになるためには(労働力が 再生産されるためには) 、どのようなことが必要なのだろうか。シンプル な日常生活だけを想定しても、食糧の買い物、食事の準備、洗濯、掃除や 基本的な家事、最低限の娯楽など、労働者の生命や健康を維持するための 一連の仕事が必要である。 しかし資本主義は、再生産労働はおのずから資本主義生産の外(家庭) に存在しているものとして、価値を生み出す「生産」過程から分離させ る。再生産労働は資本主義生産過程から不可視化され、生産と再生産は無 関係な別のプロセスとみなされる。そのため、資本が労働者の労働力の対 価として支払う賃金には労働力再生産のために必要とする最低の生活費 (例えば食料費)は含まれるものの、家事やケア、食料を食物に変える調 理など労働力維持のために行われるもう一つの労働に対する対価は含まれ ない。再生産労働は資本主義が存在するために必ず行われなければならな い労働であるが、資本にとって労働力の再生産費用を払わず労働力を供給 し続けてもらうことは、再生産労働がタダで提供され続けることであり、 それこそが資本の利潤の根幹となる。 それに対して SRT は、労働力を再生産するために欠かせない再生産労 働を、資本主義システムの内部に位置付け直そうとする。労働力の維持・ 再生産のための労働も資本主義の一部として捉え、 「商品やサービスの生 4 4 4 4 4 4 4 社会的再生産理論(SRT)を手かがりに読み解くコロナ禍 39 産と生命の生産は一つの統合プロセス」であり(Bhattacharya 2017: 3) 、 それぞれ異なる場所や社会関係の中で遂行されるものと見る。市場経済に おける商品とサービスがそれを生産する工場等で生産されるとすれば、そ の商品とサービスを生産する人々は家族と呼ばれる市場経済の外部にある 「親族」の場で資本主義的な生産とは異なる様式で生産される。重要なの は、この二者は無関係ではなく一つのシステムの異なる部分である点にあ る(Bhattacharya 2017: 3) 。 そして社会的再生産の概念の射程を、人(将来の労働者)の出産と労働 者の労働力の再生産のみに限定せず、社会(資本主義)システム全般にま で広げる。人間が育つことや次世代が継続するためには出産と家庭内の養 育以上の社会的な活動が必要であるからだ。このような視点から再生産 は、個人としての労働者、世代としての労働者集団(社会集団) 、労働者 を養成する共同体の文化や教育を含むものと考えられる(Rao 2021) 。す なわち社会的再生産には、 ·労働者の再生産、子どもの出産に関わる生物学的な労働 ·家族や他人への直接ケア、子どもの養育や高齢者介護 ·人間の日常維持のために行う家事労働、買い物、水汲みなど家の外で行 われる労働 ·コミュニティ活動、ボランティア ·文化や慣習を再生産、教育、継承させる活動 などが含まれる。 SRT は人間の生や世代的な再生産のために遂行される多様な活動を社会 的再生産とみなすことで、資本主義社会が、非市場領域で行われる膨大な不 払い労働に依拠していることを明らかにした。そして社会的再生産を、人 間の能力の再生産(human capabilities)に加え、社会制度(social institutions) を含むものとして認識するように促した。それによって家族制度や福祉政 策など国家の再生産領域へのサポートなどを社会的再生産との関係で構造 的に捉える視座が与えられる。 さらに資本主義危機に対する SRT の考察はコロナ禍についても示唆に 富む。SRT 論者は資本主義に内在する矛盾と危機を、再生産との関連から 説明する。資本主義は利潤蓄積のため無限に拡張する性質を持っており、 それは、社会の再生産能力を損なうリスクを起こす限界まで突き進む。他 40 年報政治学 2022 – I号 方で資本主義自体は必要な労働力を再生産・維持する内部メカニズムに欠 けている(Katz 2001) 。そのため資本主義は、常に労働力を必要としなが ら、労働力を枯渇させる。この矛盾は、資本主義システムを不安定化させ ることになり、再生産の危機を定期的に呼び起こしてきた。 フレーザーはそのような資本主義システムの矛盾した衝動を、生産・再 生産領域のバウンダリー闘争という視点から読み解いた(Fraser 2016, 2017)。1970 年代以降資本主義が新自由主義に展開してグローバル化する ことで利潤の落ち込みを克服し、さらなる利潤獲得を追求しようとしたこ とに対して(Harvey 2004) 、生産・再生産領域のバウンダリー闘争では、 資本主義の危機を再生産領域に転移させて再生産の負荷を増加させてきた と指摘する。そしてグローバルノースにおける新自由主義の特徴を、公的 供給(social provisioning)の市場化による再生産領域の危機として理解す る。すなわち、ケアの危機は「出産と子育て、友人や家族のケアする能 力、家庭やコミュニティの維持・つながりの能力」の危機として理解する に留まるべきではないとする。フレーザーはむしろ、社会的再生産機能の 衰退と枯渇によってもたらされる、社会システムの自己再生産能力の総体 的危機と見るべきだとする。ケア労働の不足で明らかになった危機は、 「社会秩序の構造に深い根源を持っている」ことで、自ら依存する社会的 再生産のプロセスそのものを不安定にしてしまう無制限の蓄積によって生 み出され、加速されてきたのである(Fraser 2017) 。 資本主義の歴史的変遷によって社会的再生産は再構造化され、またそれ に伴い個人の行動も変容を余儀なくされてきた(例えば非婚、少子化の深 刻化など) 。今日のグローバル化した資本主義は、生産のグローバル化と 移住労働者の国際移動を促進し、生産と再生産がそれぞれグローバル化し て、両者の関係がさらに切り離された。グローバルノースの女性たちは労 働市場に参入し、かつて彼女たちが行っていた無償の再生産労働はグロー バルサウスから移住した低賃金の移住労働者によって担われるようになっ た。すなわち、グローバルノースの再生産危機を緩和する戦略は再生産領 域のジェンダー・人種による階層化を進行させ、グローバルケアチェイン (global care chain) の 下 部 に 再 生 産 の 負 荷 を 転 嫁 し(Hochschild 2000, Parreñas 2001, Ehrenreich and Hochschild 2003) 、グローバルサウスでは再生 産能力の枯渇の危機を招いた[4]。SRT はこのような再生産のグローバルな 社会的再生産理論(SRT)を手かがりに読み解くコロナ禍 41 再編成に焦点を当てることで、ジェンダー、人種、セクシュアリティ、国 籍、エスニシティなどの抑圧的な構造が資本主義の歴史的な展開に組み込 まれていくプロセスを明らかにしたのである(伊藤・足立 2008) 。 このように SRT は、資本主義社会を構造的、総体的に理解することを 可能にして、生産労働と再生産労働がどのように関連付けられて、また変 容しているのかを考察する視座を与える。資本主義のあり方が変化するこ とは生産領域のみならず必然的に社会的再生産領域をも変容させることに 注目を喚起する。特に、市場経済の内外から発した危機に非市場領域の不 払い労働がどのように動員され、変化するのか、そして結果的に市場経済 の失敗による負荷をどう吸収していくのかを分析する必要性を提示する。 SRT によって、コロナ禍で呼び起こされた「家」と、増大したジェンダー 化された再生産労働を構造的に捉えられる分析視座を得られると考える。 3.枯渇(depletion)― 社会的再生産危機の可視化 社会的再生産が危機的状況になるとは具体的にどのようなことなのか。 人間の生に関わる諸活動の困難は貧困率、自殺率、少子化、地域の過疎化 のような指標の悪化に可視化されて現れる。これらをフレーザーがいうよ うに資本主義社会システムの再生産の危機として再認識するなら、女性が 担ってきたあらゆる活動を再生産労働として概念化するだけでなく、具体 的に測定することで再生産労働を可視化することが必要である。フェミニ スト研究者らは生活時間調査(time use survey)のような様々な測定方法 を開発してその目的に資してきた。 ライ/ホスキンス/トマスは、社会的再生産労働を行うことで起きうる 個人、家族、コミュニティの負担(それを担う主体が危機状態に陥ること を含めて)を「社会的再生産の枯渇」 (depletion of social reproduction: DSR) と概念化した(Rai et al. 2014) 。社会的再生産の枯渇は、 「社会的再生産ワ ーク〔著者らの表現にしたがってワーク(work)とする〕を遂行するた めに投入する資源がその結果物を上回り、そのマイナス分(=resource inflows-resource outflows)が、ワークに従事する人々が持続的に再生産労 働を行える最低限度を超えて、彼女らに害をもたらす水準」と定義される 年報政治学 2022 – I号 42 (Rai et al. 2014: 88–89) 。このようにライらは、環境アカウンティングで使 われている「枯渇」の概念を借用して、再生産能力の減少や回復の不可能 状態を表そうとした。 個人、家族、コミュニティの福祉を同じ水準で維持するために投入しな ければならない資源が、個人、家族、コミュニティが提供できる資源を超 える状態が続くと、再生産能力が枯渇し持続不可能になる。枯渇の状態は 一定程度までは耐えられるが、長期化するとその労働を担う人や共同体に 甚大な被害を与える。ライらは社会的再生産の枯渇を測定することで個人 や家族、コミュニティにおける長期的な再生産能力の低下について社会的 な認識を促し、その害について警戒した。ライらが提示した枯渇の測定指 標はストレス、時間、健康である。それぞれ個人、家族、コミュニティで 再生産を担う人々のストレス、時間の使い方、健康状態を測定することで 枯渇の水準を測るという考えだ。 ライらに倣いながらもここでは【賃金、時間、社会関係、自然】という 再生産資源に焦点を当てて資源の減少が個人、家族、コミュニティ再生産 にもたらす枯渇の状態を検討してみたい。資本主義社会では再生産に必要 な資源を非市場領域のみならず市場や国家によっても補うことができるた め、資源のあり方を検討することが枯渇を起こす背景を明らかにすること になり、具体的な対策の検討につながると考えるからである。 まず資本主義社会において労働者とその家族において最も重要な資源は 賃金である。資本主義社会の発展は非市場的な方法で生活物資を生産する 4 4 手段を奪い、市場経済は労働者が賃労働に頼らなければ生存できないまで 拡張した。そのさなか、新自由主義の拡張によって格差が広がり、非正規 労働者の中ではかろうじて生存水準を維持している人々が増えた。また、 資本主義の発展は女性を賃金労働に組み込んだが、女性は低賃金で不安定 な労働に集中している。日本では窓口公務員、看護師、介護士、幼稚園や 小学校の教師、保母など、社会的に必須でありながら報酬が抑えられてい る労働に女性が集中しており、同じ職種でも女性が多い分野では賃金が低 く抑えられる傾向がある(竹信ほか 2020, 山根 2018, 金井・申 2021) 。とり わけ、雇用形態が社会保険や年金などの公的福祉と連動しているため、無 償のケア責任を担うため有償労働から撤退せざるを得なくなった場合に、 賃金を失うだけでなく、公的年金においても不利益を被る。無償の再生産 社会的再生産理論(SRT)を手かがりに読み解くコロナ禍 43 労 働 を 長 く 続 け た 結 果、 貧 困 に な る 高 齢 女 性 の 貧 困 問 題 や(Federici 2012) 、出産をきっかけに退職したことが生涯のキャリアにもたらすケア ペナルティーは再生産労働と賃金の関係が負の関係であることを現す。 時間は誰にとっても有限な資源であるだけに、再生産に欠かせない資源 4 4 である。しかし、現代資本主義社会における働き方は労働者の自由な時間 を縮小させてきた。日本では正社員は長時間労働を強いられる一方、非正 規の不安定労働者は、最低限の生活維持賃金を得るために仕事を掛け持ち することが一般化してきた。女性が有償労働市場に参加することと女性労 働の非正規化がともに進行して時間給労働者が増えた結果、収入をあげる ためには労働時間を増やさざるを得ない。しかしそれが労働者の時間貧困 をもたらし、労働者家族の再生産能力をかえって低下させる。賃金労働者 のほとんどが他人をケアする時間がない中、ひとり親世帯や未就学児を抱 える共働き世帯は時間貧困に陥る確率が高い(石井・浦川 2014) 。とりわ けひとり親世帯では時間貧困と同時に所得貧困にも陥っている世帯が多い ため、子育て世帯においては時間貧困と所得貧困は必ずしもトレードオフ の関係にはなっていない(石井・浦川 2014) 。 男性稼ぎ型のジェンダー規範が根強いまま、長時間労働が当たり前の男 性正社員労働者を標準とする働き方は、男性には時間貧困を、ケア責任を 持つ女性は所得貧困と時間貧困を同時に被らせる。ケア責任による時間貧 困は女性を低賃金に縛りつける原因となっているだけでなく自己再生産能 力も損なわせる。コロナ禍で感染症を防ぐために推奨された在宅勤務の普 及は仕事の境界を曖昧にさせ、家族責任を負っている女性は自己再生産の 時間を大幅に削ることにつながった(浦川 2021) 。 社会関係も社会的再生産の重要な資源である。住民自治や様々な地域の 4 4 4 4 共同体はかつて町の生活の中心的な役割を果たしていたが、資本主義の発 展や近代化による住居関係の変化によって地域共同体は弱体化した。財政 逼迫を理由に公的な空間が民間に売られ、街の公園や広場は再開発により つぶされ、人と人が触れ合う空間がなくなっている。生産性を優先する新 自由主義の考え方は、人と人の関係を共生より競争の関係に変質させ、対 立と暴力を生み出してきた。コロナ禍では、地域に拠点をおく公的施設の 利用が禁止されたり、子ども食堂のような民間の活動もストップされ、す でに薄くなっていた社会関係がより脆弱化した。コロナ禍により経済活動 44 年報政治学 2022 – I号 が頻繁に止められた 2020 年に、特に女性の自殺者数が跳ね上がり、前年 より 935 件も増えた(男性は減少) 。コロナ禍が女性により深刻な影響を [5] 与えている背景には DV や若年女性の社会的孤立がある(内閣府 2022) 。 ソーシャルディスタンシングと隔離を強いられ何処にも頼ることができな くなった人々の自殺は回復不可能な枯渇の典型的な例といえる。 最後に、自然を社会的再生産の資源に加えたい。自然は再生産労働と同 4 4 様に資本主義においてタダで使用できるギフトとみなされてきた。自然は 資本主義的生産が普及していない生存維持経済において最も重要な資源で あり、資本主義に頼らない共同体を維持するためにも欠かせない。水や 海、山の生産物など自然からもらうものは従来共同体の誰でも使えるもの で共同体の維持、再生産を保つ柱であった。しかし資本主義はあらゆる自 然 を、 利 益 を 生 み 出 せ る 資 源 化 し、 商 品 化 し た(Federici 2012, Moore 2015) 。資源の収奪のグローバル化によって共同資源を失う人々は賃金に 頼る賃労働者になるしかなく、仕事を探して共同体を離れて遠隔で働くよ うになった。生存維持経済の破壊が進んだ末、経済危機の時に痛みを吸収 するバッファーとしての共同体を失っていく姿はグローバルサウスで一般 化していて、コロナ禍でその負の影響が顕著に現れた[6]。 以上で挙げた四つの再生産資源は独立した次元にあるものではなく、互 いに関連しあっている。例えば、所得の減少による労働時間の増加はその 人や家族のケア、家事、人の付き合い、自由時間を確保できない時間貧困 をもたらす。また、社会的関係やコミュニティの資源がやせ細ると個人が 全ての再生産資源を備えなければ枯渇に陥る。2 節で確認したように資本 主義は社会的再生産に枯渇を生じさせる矛盾を孕んでおり、再生産領域で も市場化を進めて利潤追求のメカニズムに組み込んできた。そのため資本 主義社会においては、社会的再生産能力の枯渇を起こさないため市場の外 から公的支援策によるサポートが施されてきた。コロナ禍に対する国家の 緊急対処がその事例である。 4.社会的再生産の枯渇と国家 以上では資本主義に基づく社会に必然的に起こる社会的再生産の危機の 社会的再生産理論(SRT)を手かがりに読み解くコロナ禍 45 傾向と、それがパンデミックのような状況で一層深刻化しうるシステムを 作ってきたことを、社会的再生産理論に依拠して検討し、その帰結として 再生産の枯渇が起きうると論じた。しかし SRT は資本主義国家を前提に しながらも国家と社会的再生産の関係について十分に議論していない[7]。 他方で国家に関する政治学やフェミニズムの議論は豊富である[8]。フェ ミニスト政治学にとって国家は支配のための権力装置であるとともに変革 のための争いの場である(Rai 2019) 。国家は、単一な意思決定の主体で はなく多層的な意思決定や執行機関の集合体であり、法律や政策、統治イ デオロギーとしても現れる。権力行使の主体として社会の様々な勢力に対 して自律性を持ちながらも、決して社会から切り離されて存在してはいな い。国家と社会との相互関係の中で国家の性格は常に変容し、そのため国 家の制度や政策は多様な勢力の争いの場となる。国家論においてフェミニ ズムの重要な貢献は、国家はジェンダー中立的ではなく、国家の制度や政 策には社会のジェンダー関係が反映されており、また国家は統治の権力装 置を通じて社会のジェンダー秩序を再生産・強化、変容させるアクターで あることを明らかにしたところにある(申 2013) 。 国家がジェンダーの再生産に深く関わっていることは、家族と社会的再 生産に対する国家の深い関心にも現れる。国家は、一方で人口再生産の論 理(家族政策や合計出生率など)に基づく直接的な介入や支援を通じて、 他方では資本との協力のもとに間接的に労働力人口の再生産を管理する (育休を権利として保障するなど)ことで、労働力の確保と健全な市民の 養成を促す(Foucault 1991) 。また、資本主義が危機に直面した時は生産・ 再生産の矛盾した関係に積極的に介入して危機に対処してきた。例えば、 歴史的に異なる時期に、民営化や緊縮財政政策を拡大して資本の利益を重 んじる政策を取ったり、再配分を促進し、労働者を守る政策を取ったりす る介入をしてきた(Fraser 2017) 。 アメリカやヨーロッパのようなグローバルノースの国家は、1970 年代 に資本主義の利潤低下の危機を、生産領域のグローバリゼーションと新自 由主義改革を進めることで乗り越えた。そして公的支援の削減や雇用の脆 弱化による社会的再生産への負担は、再生産領域にグローバルサウスの労 働者を受け入れることで対処してきた(Ehrenreich and Hochschild 2003) 。 国家はグローバル化する資本と歩調をそろえて、送り出し国と受け入れ国 46 年報政治学 2022 – I号 の政策的取り組みのもとで、労働力のグローバルな移動を促進した。所得 維持のために共働きが一般化したグローバルノースの社会では、かつて女 性たちが担っていた家事労働やケア労働を移民女性に肩代わりさせること で、ジェンダーと人種のヒエラルキーに則る形で再生産労働が階層化され た。そしてその帰結としてグローバルサウスの国々にケアの担い手の不足 が連鎖的に転嫁された。グローバルサウスの国家は再生産労働力の輸出を 外 貨 獲 得 の 機 会 と 捉 え、 自 国 の 再 生 産 能 力 や 資 源 の 枯 渇 を 助 長 し た (Hochschild 2000, Parreñas 2001) 。 日本でも社会的再生産が困難な状況に陥って久しい。しかし再生産の危 機のあり様と、それに対する国家の対応は、グローバルケアチェインに依 存する欧米と必ずしも同様ではない。日本では少子高齢化とケアの担い手 不足が深刻化しても公式的に移民を受け入れていない。日本の 2020 年の 合計特殊出生率は 1.34 で[9]、コロナ禍が原因で減ったとしてもこの 20 年 間一貫して 1.5 を下回っており、すでに労働力の維持・再生産が不可能な 枯渇状況である[10]。それに対する国家の体系的な対策が打ち出されてい ないまま、保育園の不足も解消されず子育ての責任は第一義的に親に課さ れているのが現状だ。超高齢化に対する対策も介護労働者の慢性的な不足 に苦しむ。 その背景には頑なに維持されているジェンダー秩序と再生産領域に対す る国家の支出抑制がある。ケアの担い手を含め社会的再生産労働の需要は 爆発的に増えているのに対して、そのコストの大半を女性の無償・低賃金 労働に頼って賄う体制を改めてこなかったことが、再生産労働の不足を招 いた重要な原因である。性別分業のジェンダー役割への前提は日本の生活 保障システムにも組み込まれている。大沢は生活保障システムが「男性が 稼いで妻子を養う」世帯を標準とする男性稼ぎ主型をとっており、それと は別の選択(共稼ぎ、ひとり親、単身など)をする人々は不利益を被る制 度になっていると指摘し、それを制度による構造的な差別・排除であると 批判する(大沢 2021a, 2021b) 。それが原因で、税・生活保障制度が国家 によるサポートが最も求められる低所得者、とりわけひとり親家庭の生活 困難をかえって増幅する矛盾をもたらした。 「社会保障に頼らせない」 「自 立」が強調され[11]、再生産のコストは制度によって逆進的に負わされてい るといえよう。 社会的再生産理論(SRT)を手かがりに読み解くコロナ禍 47 これらの傾向は、1980 年代以降日本が先進福祉国家への道を諦め、日 本型福祉国家を目指す過程で確立した。特に小泉政権は医療・福祉に新自 由主義的な市場原理を導入する方向ではなく、増税はせずに医療・社会保 障費を抑制する政策を基本的路線とし、支出の抑制を目指した(二木 2021) 。安倍政権にもその路線は継承され、診療報酬の引き下げや医療費 抑制政策を進めたという(二木 2021) 。大沢も保健所を含む公的地域医療 体制の弱体化が長期にわたって進んでおり、女性の非正規化も進んだこと を明らかにした(大沢 2020) 。その歴史の中で自助(自分や家族)が強調 され、経済的に自立して福祉に頼らない人(男性労働者)が望ましい市民 として位置付けられたが、人の生活を支えるために存在する社会保障の支 出抑制は、 「自立」を支える再生産労働とそれを担う人への負担増にほか ならない。 日本は欧米のようにグローバル化に頼ってグローバルサウスの再生産労 働力を収奪するシステムに突き進む代わりに(もちろん実際には外国人ケ ア労働者など受け入れ始めているが) 、自助と性別分業によるジェンダー 構造を「活用」することで、再生産の危機に対処しようとしてきたといえ よう。それは再生産領域に従事する女性労働に負の影響をもたらした。人 件費の削減のために雇用の分節化が進み、専門性を築きにくい低賃金の職 業が大量に生成された。例えば、 「能力」による年俸制への転換、短期契 約の非正規社員のポジション、業務ごとに職種が分かれる非正規公務員、 ケア労働者の仕事と時間の細かい分節化による報酬の切り下げ、などがそ れである。例えば、山根は介護分野の効率化は結局労働者の人件費の抑制 につながったと指摘する(山根 2018) 。日本が進めてきた介護制度の「準 市場メカニズムにおいて「事業者 ― 労働者」間の資源配分のあり方はブラ ックボックスとなっており、労働者の賃金を抑えることが資源配分の効率 化の手段」となっているとする(山根 2018: 49) 。そして効率化は、 人件費補助方式からサービスごとの給付への移行、包括的な対人サー ビスから「身体介護」 「家事」の業務区分と後者の低価格化、低賃金 の「家事」を支える女性の非正規労働力の活用によって実現した。さ らに制度開始以降も、介護報酬の改正をとおした資源配分のコントロ ールのもとで、非正規化と労働強化が進んでいる。この構造が労働力 48 年報政治学 2022 – I号 の再生産を困難にしており、低賃金で働く外国人労働者の活用は日本 型準市場の効率化の必然的帰結 (山根 2018: 58) であると指摘する。公的責任を負うべき介護保険制度が女性の低賃金労働 の「活用」を前提にしており、家庭内で行われていた「主婦の無償労働」 の延長線として介護労働を認識しているからであるとする。 このように生活保障への支出抑制の方針と男性稼ぎ主の性別分業を組み 入れたあらゆる政策の帰結は、社会の再生産能力を弱め、資源を削り取 り、コロナ禍のような危機には自助ができない弱い立場の人々が一層苦し む構造を作る。国家と資本が協働してジェンダー構造に依拠して経済的発 展を遂げてきた日本(developmental state model と呼ばれている)は、公的 生活保障制度や市場経済にもジェンダー構造を持ち込み、それゆえ再生産 危機を招いた。その帰結としてコロナ禍における女性の失業や貧困の深刻 化、自殺率の増加が現れたといえよう。 5.危機から構想する未来 本稿はフェミニズム理論の重要な柱である SRT を手かがりにコロナ禍 で浮き彫りになった社会的再生産領域の危機の性格を解明することを試み た。SRT が提示した生産・再生産領域を一つの体系的な資本主義システム として認識する視座は、社会的再生産を資本主義社会の構造的な問題とし て位置付ける。そしてコロナ禍で現れた社会的再生産の危機はコロナ禍以 前から蓄積されたジェンダー化されたグローバル資本主義社会の必然的な 帰結であることを明らかにした。 コロナ禍に直面して、各国には大規模な公的対策が求められた。しかし 対策の方法やスピードもすでに存在する制度的な枠組みによって左右され た。フェミニスト研究者らは現時点までの各国の対応について収奪的な資 本主義のあり方を修正する方向とは程遠いと厳しく評価する(Plomien et al. 2022, Ludwig 2022, Rao 2021) 。日本では企業を通した雇用維持政策が素 早く取られたことに対して、生活の困難や家庭、ケア、教育といった再生 産領域への直接支援については対応が不十分で遅れた[12]。予算の規模は 社会的再生産理論(SRT)を手かがりに読み解くコロナ禍 49 諸外国と比べて大きかったが、政策に関する情報の不足や仕組みの複雑さ によって必要な人々に素早く届かなかった問題も露呈した(荒見 本誌特 集) 。雇用形態に縛られた雇用安定制度が最も脆弱な層、それに集中して いる女性を排除する結果をもたらした。 SRT 論者らは未来の展望も社会的再生産領域に見出す(Federici 2012, Ferguson 2019, Batacharya 2017 など) 。かつて資本主義批判論者らが労働者 による階級闘争を変革の道として想定していたことに対して、SRT は再生 産領域で働く人々を変革の主体として位置付ける。そして世界各地で起き ている、女性たちによる家族やコミュニティの生存維持のための闘いに注 目を促し、連帯を呼びかける(Federici 2012) 。これらの運動から明らかな のは社会的再生産の危機を解消するためにはジェンダー関係の抜本的な変 革が伴わなければならないことである。家事労働者の労働者としての権利 を認めた ILO 189 号条約「家事労働者の適切な仕事に関する条約」もその 流れの一つであろう。 そしてそのためには、資本主義のあり方について大幅な修正とこれまで も実現しなかった真の民主的な政治を実現しなければならない。その展望 に懐疑的な人々は資本主義を拒んでコモン的な共同体を提唱するか、社会 主義を対案として掲げる(Arruzza et al. 2019) 。本稿では未来のための具 体的な展望を示すところまでは至らなかったが、人間の生と生活を中心と する未来を構築するための議論が今まさに必要であることはいうまでもな い。また、グローバルノースで生きる我々の生き方に対する反省に基づい て全地球的規模の不正にも目を向け、一国中心的な解決に走らず、政治的 連帯に基づく今とは異なる未来を切り開く道を探さなければならない。 [1] International Feminist Economics Association, UN WOMENなど。 [2] UN WOMENは各国でステイホームが求められると、DV が増加しうると、いち 早く警鐘を鳴らした(UN WOMEN 2020) 。日本でも2020 年のDV 相談件数は前 年度の 1.6 倍増加し、2021 年も増え続けた。内閣府のコロナ下の女性への影響に 関するデータを参照。https://www.gender.go.jp/research/weekly_data(2022 年3 月18 日閲覧) 。 [3] シングルマザー調査プロジェクト、https://note.com/single_mama_pj(2022年 3 月 18 日閲覧) 。 50 年報政治学 2022 – I号 [4] 人口が減少していないとしても貧困や労働力の移住による飢餓やケア不足の問 題を含む。 [5] 男性の自殺件数はもともと女性より 2 倍以上多いが、コロナ禍において女性の自 殺件数が大幅上昇した。 [6] インドの都市部で働いていた多くの国内移住労働者らが、コロナ禍で危険にさ らされても居場所がなく、政府の支援ももらえないまま歩いて村に帰っていく 姿は記憶に新しい。 [7] その点については福祉国家論やグローバルサウスのフェミニスト政治経済学が 示唆点を与える。 [8] 政治学における国家論は多様で、自由主義・多元主義的な国家論、マルクス主 義国家論、そして社会からの自律性を強調する国家論などがある。 [9] https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA043NS0U1A600C2000000/(2022 年 3 月8 日閲覧) [10]子育てに対する国家の支援が少ない香港、シンガポール、中国、韓国のいずれ も似たような状況であり、韓国は合計特殊出生率が1 を切っている状態が常態化 している。 [11]安倍第2 次内閣で採択。 [12]全住民に支給された特別給付金や脆弱層に対する現金給付は行われたが、世帯 主義を踏襲するなど、家庭内の再生産労働のジェンダー非対称的な配分につい て認識が乏しかった。他方で、雇用調整支援金など雇用保険制度に基づく雇用 対策は比較的に素早く取られたが、制度の目的が労働者の休業による事業主の 経済的な損失を賄うことで、事業主が申請しない限り労働者には恩恵が及ばな い問題があった。そのため企業を通さず直接休業労働者に公的な休業給付を支 給する迅速な給付制度が求められた(濱口 2020) 。コロナ禍が長期化することに つれ、2021 年には新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金制度が新 設され、給付金をもらえる対象が広げられた。 ❖ 参考文献 石井加代子・浦川邦夫、2014、 「生活時間を考慮した貧困分析」 、三田商学研究 57(4): 97 – 121. 伊藤るり・足立眞理子編著、2008、 『ジェンダー研究のフロンティア 第二巻 国際移動 と〈連鎖するジェンダー〉― 再生産領域のグローバル化』 、作品社. 浦川邦夫、2021、 「子育て世帯の生活を損なう「時間貧困」という問題」 、週間東洋経済 2021年2月13日号 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