動物 - Wikipedia
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動物界
Animalia
生息年代:
クライオジェニアン
現世
, 665–0
Ma
Had'n
Archean
Proterozoic
Pha.
各画像説明
注釈 1
分類
ドメイン
真核生物
Eukaryota
階級なし
アモルフェア
Amorphea
階級なし
(和名なし)
Obazoa
階級なし
後方鞭毛生物
Opisthokonta
階級なし
ホロゾア
Holozoa
階級なし
フィロゾア
Filozoa
注釈 2
階級なし
コアノゾア
Choanozoa
注釈 2
動物界
Animalia
学名
Animalia
Linnaeus
1758
シノニム
Metazoa
Haeckel
1874
emend.
Adl
et al.
2005
後生動物
和名
動物
下位分類
海綿動物
真正後生動物
動物
(どうぶつ、
animalia
注釈 3
animal
)は、
生物学
における
生物
(特に
真核生物
)の分類群の一つ。かつて生物は、感覚と運動能力によって植物と動物に大別されていたが
注釈 4
、動物は
ヘッケル
により多細胞性の
後生動物
と単細胞性の
原生動物
注釈 5
に分けられた
ホイッタカー
による
五界説
ではこの後生動物のみを
動物界
Animalia
として扱い、これを「動物」として扱うことが一般的である
日常語において、動物とは1. の意味の動物のうち、
ヒト
以外のもの
。特に
哺乳類
に属する生物を指す事が多い
本項では1. の意味を解説し、特に断りのない限り、後生動物を指すものとする。
動物を扱う学問を
動物学
といい、動物の生物学的側面に加え、動物と人とのかかわりが対象とされる
。動物の研究史についてはこの「
動物学
」も参照。
分類
編集
2020年現在判明している真核生物の系統樹。
図中青字の
OPISTHOKONTA
オピストコンタ
に含まれる
Metazoa
が後生動物(本項の示す
動物
)で、
Fungi
菌類
Ichthyosporea
と動物をまとめた枝が
ホロゾア
で、菌類と
Nucleariida
をまとめた枝が
ホロマイコータ
である。
動物は、
哺乳類
爬虫類
鳥類
両生類
魚類
といった
脊椎動物
はもちろん、
貝類
昆虫
サナダムシ
カイメン
など、幅広い種類の生物を含んだ
系統群
である。
上位分類
編集
20世紀
末の
分子遺伝学
の知見を踏まえると、生物は
真正細菌
古細菌
真核生物
の3つに分かれるが(
3ドメイン説
、そのうち動物は
植物
菌類
(キノコやカビ)、
原生生物
とともに
真核生物
に属する。なお、
原生生物
の一部である
原生動物
ゾウリムシ
ミドリムシ
アメーバ
など)は本項で言う動物(
後生動物
)とは系統上の位置が異なり、それ自身も多系統である事が判明している。なお、日本の初等教育では3ドメイン説以前の
二界説
(2011年まで)ないし
五界説
(2012年以降)に基づいて生物の分類を説明している
動物は、真核生物の中でも
オピストコンタ
(後方鞭毛生物、
Opisthokonta
)という
単系統
性が強く支持される系統群(
スーパーグループ
)に属し、ここには動物以外に
菌類
や一部の真核生物が属する。オピストコンタに属する生物は、後ろ側にある1本の鞭毛で進むという共有形質を持ち、動物の
精子
ツボカビ
胞子
が持つ
鞭毛
がこれにあたる。オピストコンタは
アメボゾア
Amoebozoa
とともに
アモルフェア
Amorphea
という
クレード
にまとめられる
10
さらにオピストコンタには
ホロゾア
Holozoa
というクレードと、
ホロマイコータ
Holomycota
というクレードがあり、動物は前者、菌類は後者に属する
。なお動物の起源とされる(後述)
襟鞭毛虫
もホロゾアに属する
11
。前述の通り後生動物を動物界として扱うこと
12
13
14
が多いが、このホロゾアを動物界と見なす試みもある
15
また、
Adl
et al.
(2019)
では、後生動物
Metazoa
Haeckel
1874
emend.
Adl
et al.
2005
を正規のランク
注釈 6
とし、動物
Animalia
Linnaeus
1758
および
真正後生動物
Eumetazoa
Bütschli,
1910
と同義(後生動物の
シノニム
)として海綿動物、平板動物、刺胞動物、有櫛動物を含めながらもそれらを除いた
左右相称動物
に相当する階級とした
学名と命名法
編集
動物の学名は
国際動物命名規約
にて運用される
16
。現行の規約は
2000年
1月1日
に発効した第4版である
17
。この命名規約では「動物」という語は本項で示す
後生動物
を指すが、
原生生物
であっても研究者によって動物(
原生動物
)として扱われる場合は命名法上は「動物」として扱われ、この命名規約が適用される
18
19
。(真核生物の命名規約には、
国際動物命名規約
国際藻類・菌類・植物命名規約
があり、このどちらかに則らなければ学名と見なされない。)
動物命名法の起点は
カール・フォン・リンネ
(1758) の
Systema Naturae
『自然の体系 第10版』および
カール・アレクサンダー・クラーク
Carl Alexander Clerck
(1757) の
Aranei Svecici
であり、ともに1758年1月1日に出版されたとみなされる
20
特徴
編集
動物は一般的に以下のような共通する形質を持つ。
多細胞
真核生物
である
21
22
従属栄養生物
である
22
23
。すなわち
植物
のような
独立栄養生物
と違い、無機物から自力で栄養源を得る事はできない。
非常に少数の例外的な動物を除き、
好気呼吸
する
24
。すなわち
酸素
を使った
細胞呼吸
をする。
運動性
がある
25
。すなわち、自発的に体を動かす事ができる。ただし生涯の途中で
付着生物
と化すなど、運動性がない時期がある動物もいる。
ほとんどの動物には、
胚発生
の初期に
胞胚
という段階がある
26
また、動物の
体制
(たいせい、ボディプラン、
bodyplan
Bauplan
)を比較する上で、細胞の単複(多細胞化)、
組織
器官
の有無(器官分化)、そして
体軸
の対称性、
胚葉
体腔
が重視されてきた
27
28
体軸
編集
→「
体軸
」も参照
胚が形成される過程で、
体軸
(たいじく)という体の向きが決定がなされ、その向きには前後軸(頭尾軸)、背腹軸、左右軸の3つの基本的な軸がある
29
30
。動物のパターン形成において、体軸の決定など細胞に位置情報を与える機能をもつ物質を
モルフォゲン
と呼ぶ
31
前後軸
(ぜんごじく、
antero-posterior axis
、頭尾軸、一次軸、吻尾軸)は動物の体制の基本となる軸で、明瞭な背腹軸のない刺胞動物にも見られ、頭部(
)から尾部(
肛門
)を貫いている
32
。前後軸の形成にはほとんどの動物(例えば、脊椎動物や
コオロギ
節足動物
プラナリア
扁形動物
から
刺胞動物
まで)で Wnt
リガンド
(細胞外分泌性因子)が関わっており、尾部側で Wnt、頭部側で Wnt 拮抗因子が発現している
32
。ただし、
ショウジョウバエ
(節足動物)では、初期胚において細胞膜の存在しない合胞体として発生する(表割)ため、Wnt のような分泌性因子の濃度勾配ではなく
ビコイド
bicoid
) というホメオドメインを持つ
転写因子
が蛋白質レベルで頭尾軸に沿って濃度勾配を形成し、形態形成が行われる
32
31
。また、前後軸に沿った分節の形成にも
ホメオドメイン
と呼ばれる
DNA結合ドメイン
を共通に持っている
Hox
クラスター遺伝子
が働いており、胚発生が進むにつれ、遺伝子座の 3'-側から順に前後軸に沿って分節的に発現することで前後軸に沿ったそれぞれの位置に固有な形態が形成される
32
33
Hox
遺伝子群は海綿動物をのぞくほぼすべての後生動物が持っている
33
背腹軸
(はいふくじく、
dorso-ventral axis
)も同様に左右相称動物で認められる動物の体制の基本となる体軸である
32
。扁形動物、節足動物、棘皮動物、脊椎動物など多くの動物で、細胞外に放出される
BMP
(骨形成因子
34
)というリガンドと Chordin などの BMP拮抗因子によってつくられるBMP活性の濃度勾配によって背腹軸が形成される
32
。外胚葉はBMP活性が高いと表皮に、低いと神経に分化するが、
19世紀
前半から脊椎動物と他の動物では背腹軸に沿った器官配置が反転していることが指摘されており、実際に脊椎動物でBMP が腹側で発現し、背側で Chordin などが発現するのに対し、節足動物(ショウジョウバエ)では背側で BMP に相同な分子 (Dpp,
Decapentaplegic
) が、腹側で BMP拮抗因子(同、Sog)が発現していることが分かっている
32
34
。逆にショウジョウバエにおける腹側を決めるのは
dorsal
遺伝子で、細胞性胞胚期において腹側に転写因子
ドーサル蛋白質
Dorsal
) が多く分布し、背側への分化を抑制する
34
。胚発生時から背腹軸が決まっている節足動物とは異なり、両生類(脊椎動物)では、受精の際に精子の侵入と反対側に
灰色三日月環
が形成され、そこから原腸陥入が起こって Wnt
シグナル伝達
系の
ディシェベルド
(Dsh,
Dishevelled
) が活性化して他の因子を活性化し、反応の下流で
オーガナイザー
を誘導することで背側となる
34
さらに、脊椎動物の神経管の背腹軸は、胚の背腹軸形成の完成後に進行するが、神経管の腹側領域(フロアプレート)や脊索で Shh (
sonic hedgehog
) 蛋白質、Wnt 拮抗因子、BMP拮抗因子が発現し、これらの濃度勾配によって神経管内で下流標的因子の発現活性が活性化または抑制されることで種々の神経細胞が分化する
31
32
。これらの発現パターンは左右相称動物の
中枢神経系
で広く保存されている
32
左右軸
(さゆうじく)は動物の3体軸のうち最後に決まる軸で、左右非対称性が生じるメカニズムは進化的に多様である
30
。脊椎動物ではまず胚の中央部(ノード)で繊毛の回転により左右対称性が破られ、左側の中胚葉で
Nodal
および Leftyといったシグナル分子が活性化し、腹腔内で臓器が非対称な形と位置で形成される
30
。それに対し、ショウジョウバエ(節足動物)では、細胞の形態のゆがみに起因して消化管が非対称な形態をとる
30
。腹足類(軟体動物)では殻の巻く方向が発生初期の卵割様式に依存して Nodal や Pitx2 などの因子の制御により左巻きか右巻きかが変化する
30
胚葉性
編集
→「
発生
」も参照
受精卵が卵割を繰り返し形成される細胞の層を
胚葉
(はいよう、
germ layer
)と呼ぶ
35
個体発生
の過程では、上皮細胞の層に囲まれ体内と体外の区別がつく
胞胚
の状態から、
原腸陥入
によって
内胚葉
(ないはいよう、
endoderm
)と
外胚葉
(がいはいよう、
ectoderm
)が形成され、
二胚葉性
嚢胚
(原腸胚)となる
28
35
。そこからさらに内外両胚葉の何れかから中に細胞が零れ落ち、
中胚葉
(ちゅうはいよう、
mesoderm
)が形成される
28
35
。外胚葉由来の中胚葉を
外中胚葉
(がいちゅうはいよう、
ectomesoderm
注釈 7
)、内胚葉由来の中胚葉を
内中胚葉
(ないちゅうはいよう、
entomesoderm
注釈 8
)と呼ぶこともある
35
36
。外中胚葉からなる細胞は全て
間充織細胞
mesenchyme
) としてできるが、
棘皮動物
箒虫動物
など、内中胚葉でも間充織細胞として形成されるものもある
36
系統進化
の仮説において、
多細胞
化して細胞同士の密着により体内と外界を隔離するようになった動物が、口と
消化管
を生じ、
内胚葉
外胚葉
の区別がなされるようになった二胚葉動物(ディプロブラスティカ
37
Diploblastica
)となり、それが更に
中胚葉
ができて三胚葉動物(トリプロブラスティカ
37
Triploblastica
)となったと考えられている
28
海綿動物
以外の動物は(二次的に喪失したものを除き)胚葉の分化がみられ、
真正後生動物
と呼ばれる
38
刺胞動物
および
有櫛動物
は内中胚葉を持たないため、かつては二胚葉動物と見なされてきたが、内胚葉と外胚葉の間に外中胚葉による間充織細胞を持つため、
結合組織
に細胞がみられない
ヒドロ虫
類を除き、三胚葉性であるとみなされることが多い(それぞれの動物門については
#現生の動物の系統
も参照)
35
36
平板動物
も中胚葉を欠くとされるが、前者には
上皮
の下に細胞がみられる
35
要校閲
二胚動物
および
直泳動物
にも中胚葉がなく、後生動物ですらない
中生動物
とされていたが、現在では退化的に単純な体制になったと解釈されている
35
体腔
編集
左から無体腔、真体腔、偽体腔の断面の模式図。
外胚葉と内胚葉の間隙に中胚葉が筒状の細胞層を形成したものを
体腔
(たいこう、
coelom
)と呼ぶ
39
三胚葉性動物は体腔の構造により、体腔のない
無体腔動物
(むたいこうどうぶつ、
acoelomates
)、体腔が上皮性の細胞で裏打ちされていない
偽体腔動物
(ぎたいこうどうぶつ、
pseudocoelomates
)、上皮性の細胞で裏打ちされた体腔をもつ
真体腔動物
(しんたいこうどうぶつ、
coelomates, eucoelomates
)に大別されてきた
39
40
。偽体腔は
胞胚腔
原体腔
primary body cavity
)が体腔として残ったもので大きな体腔を作ることができないのに対し、真体腔はしっかりとした大きな体腔を作ることができる
28
36
。偽体腔動物は従来、
袋形動物
という一つの動物門に含められていた
39
。また、真体腔はでき方により
腸体腔
(ちょうたいこう、
enterocoel
)および
裂体腔
(れったいこう、
schizocoel
)に分けられる
28
39
。前者は腸体腔嚢と呼ばれる腸管にできる膨らみが括れて切れて形成されるのに対し、後者は中胚葉性の細胞塊の内部に空所が形成される
28
39
。主に
前口動物
(担輪動物 + 脱皮動物)では裂体腔、
後口動物
(新口動物)では腸体腔となる(
#現生の動物の系統
も参照)
28
。かつて後口動物として扱われていた毛顎動物や腕足動物も腸体腔を持つ
36
古くは無体腔動物から偽体腔動物、そして偽体腔動物が真体腔動物に進化してきたと解釈されていたが、ロレンツェン (1985) は間隙生活などで不必要になった真体腔が偽体腔に退化した可能性を示唆しており、さらに分子系統解析の結果でもこれが支持され、無体腔や偽体腔は真体腔が退化的に変化したものである考えがなされている
28
38
39
また、
軟体動物
節足動物
尾索動物
などでは、
血液
血リンパ
)に満たされた
血体腔
(けったいこう、
hemocoel
)と呼ばれる腔所(原体腔)を持つ
41
42
。血体腔を持つ動物は
開放血管系
を持つ
41
42
動物の細胞
編集
動物の
細胞
は、全ての真核生物の細胞に共通した以下の構造を持つ。
細胞膜
:細胞を包んでいる膜
43
。内部は生体物質を含む
水溶液
があり
代謝
の場となっている。
リボソーム
細胞質
原形質
)といった共通の構成要素を持っている。
DNA
塩基配列
または遺伝暗号 (genetic code) と言うヌクレオチドの塩基部分が並ぶ構造を持ち
44
、遺伝情報の継承と発現を担う。真核細胞のDNAは、一本または複数本の分子から構成される直線状で原核生物よりも多く
45
染色体
と呼ばれる
46
細胞質
:細胞の細胞膜で囲まれた部分である原形質のうち、細胞核以外の領域のこと。真核細胞の細胞質には
細胞骨格
(サイトスケルトン)と呼ばれる微小な管やフィラメント状がつくる網目もしくは束状をした3次元構造
47
がある。これが特に発達した動物の細胞では、細胞骨格が各細胞の形を決定づける。
細胞小器官
編集
→詳細は「
細胞小器官
」を参照
典型的な動物細胞には、以下のような細胞小器官がある(番号は図のものと対応):
典型的な動物細胞の模式図
核小体
(仁):細胞核の中に存在する、分子密度の高い領域で、
rRNA
の転写やリボソームの構築が行われる。
細胞核
:細胞の遺伝情報の保存と伝達を行う。
リボソーム
mRNA
の遺伝情報を読み取って
タンパク質
へと変換する機構である翻訳が行われる。
小胞
細胞
内にある膜に包まれた袋状の構造で、細胞中に物質を貯蔵したり、細胞内外に物質を輸送するために用いられる。代表的なものに、
液胞
リソソーム
がある。
粗面小胞体
リボソーム
が付着している
小胞体
の総称。
ゴルジ体
:へん平な袋状の膜構造が重なっており、細胞外へ
分泌
される
タンパク質
の糖鎖修飾や、
リボソーム
を構成するタンパク質のプロセシングに機能する。
微小管
細胞
中に見いだされる直径約 25
nm の
状の
構造
であり、主に
チューブリン
と呼ばれる
タンパク質
からなる。
細胞骨格
の一種。細胞分裂の際に形成される分裂装置(
星状体
紡錘体
染色体
をまとめてこう呼ぶ)の主体。
滑面小胞体
リボソーム
が付着していない
小胞体
の総称。通常細管上の網目構造をとる。
粗面小胞体
ゴルジ複合体
シス網との移行領域、粗面小胞体との連続部位に存在する。
トリグリセリド
コレステロール
ステロイドホルモン
など
脂質
成分の合成やCa
2+
の貯蔵などを行う。
ミトコンドリア
:二重の
生体膜
からなり、独自の
DNA
ミトコンドリアDNA
=mtDNA)を持ち、分裂、増殖する。mtDNA は
ATP
合成以外の生命現象にも関与する。
酸素呼吸
好気呼吸
)の場として知られている。また、細胞の
アポトーシス
においても重要な役割を担っている。mtDNAとその
遺伝子
産物は一部が細胞表面にも局在し突然変異は自然免疫系が特異的に排除
48
する。ミトコンドリアは好気性細菌で
リケッチア
に近いα
プロテオバクテリア
真核細胞
共生
することによって獲得されたと考えられている
49
液胞
:電子顕微鏡で観察したときのみ、動物細胞内にもみられる。主な役割として、ブドウ糖のような代謝産物の貯蔵、無機塩類のようなイオンを用いた
浸透圧
の調節・
リゾチーム
を初めとした分解酵素が入っており不用物の細胞内消化、不用物の貯蔵がある。
細胞質基質
細胞質
から
細胞内小器官
を除いた部分のこと。
真核生物
では細胞質基質はどちらかと言えば細胞の基礎的な代謝機能の場となっている。
リソソーム
生体膜
につつまれた構造体で細胞内消化の場。
中心体
細胞分裂
の際、中心的な役割を果たす。
細胞外マトリックス
編集
動物の細胞は
コラーゲン
と伸縮性のある
糖タンパク質
からなる特徴的な
細胞外マトリックス
で囲まれている
50
。細胞外マトリックスは細胞外の空間を充填する物質であると同時に、骨格的役割(石灰化による
貝殻
、海綿骨針といった組織の形成
51
)、
細胞接着
における足場の役割(例:
基底膜
フィブロネクチン
)、
細胞増殖因子
などの保持・提供する役割(例:
ヘパラン硫酸
に結合する細胞増殖因子FGF)などを担う。また動物細胞は、
密着結合
ギャップ結合
接着斑
などにより
細胞結合
細胞接着
している
52
海綿動物
平板動物
のような少数の例外を除き、動物の体は
組織
に分化しており
53
、組織としては例えば
筋肉
神経
がある。
生殖
編集
トンボ
の交尾
有性生殖
編集
一部の例外を除き動物は何らかの形で
有性生殖
を行う
54
55
。有性生殖では、
減数分裂
により
一倍体
の大小2種類の
配偶子
が作られる
55
。2つの配偶子が融合する事で新しい個体が生まれるが、この場合小さくて運動性がある配偶子を
精子
、大きくて運動性を持たない配偶子を
(卵子)といい、配偶子が融合する過程を
受精
fertilization
)、受精の結果できあがった細胞を
受精卵
fertilized egg
) という
56
57
58
。また精子を作る性機能を
、卵を作る性機能を
という
58
。雌雄の性機能を別々の個体が担うことを雌雄異体、1つの個体が両方の性機能をもつ場合は
雌雄同体
であるという
58
無性生殖
編集
有性生殖に対し、
無性生殖
も哺乳類を除いたほとんどの分類群で行われている
55
。無性生殖は生殖コストが低く、短期間で増殖するメリットはあるが、多様性が作りづらく有害遺伝子の排除が困難であり、後戻りできない糸車に喩え
マラーのラチェット仮説
でそのデメリットが説明される
55
。そのようなデメリットがありながらもほとんどの動物群で無性生殖が行われることは無性生殖のパラドクスと呼ばれている
55
。配偶子を必要としない
栄養生殖
型の
無性生殖
では、
出芽
横分裂
、断片化などの
自切
現象ののち、失った部分を
再生
することによって新しい個体を生み出す
55
。この型の無性生殖は
海綿動物
刺胞動物
扁形動物
環形動物
苔虫動物
内肛動物
棘皮動物
半索動物
脊索動物
などほとんどの分類群で行われる
55
。特に
ヒドラ
(刺胞動物)や
プラナリア
(扁形動物)は
分化多能性
幹細胞
をもち、自切後の再生に関与している
55
。群体ホヤ(尾索動物)では、上皮組織から多能性を持った細胞が脱分化して再生を行う
55
配偶子を必要とする
単為生殖
型の無性生殖を行う動物も存在し、
ミツバチ
アブラムシ
節足動物
)や
ワムシ
輪形動物
)、
魚類
両生類
爬虫類
脊椎動物
)でみられる
55
。卵の形成過程により、体細胞分裂で卵が形成される
アポミクシス
クローン
による生殖)、減数分裂前に染色体が倍加する
エンドミクシス
、減数分裂後に染色体が倍加する
オートミクシス
に分けられる
55
。また、精子が介在する「偽の受精
pseudogamy
」によっておこる単為生殖では、精子によって賦活され発生が開始されるが雄性前核が受精卵から除去される
雌性生殖
や、淡水生の
シジミ
(軟体動物)で見られるように精子による賦活後雄性前核が除去され精子由来のゲノム情報で発生が行われる
雄性生殖
がある
55
ヒルガタワムシ類
(輪形動物)では数千万年間アポミクシスのみで繁殖しており、DNAの変異の蓄積で新規遺伝子が獲得されるという考え(
メセルソン効果
)が提唱されている
55
。哺乳類では、
ゲノムインプリンティング
という
エピジェネティック
な単為生殖防御機構が働いている
55
発生
編集
脊索動物の初期発生。1: 受精卵、2: 2細胞期、3: 4細胞期、4: 8細胞期、5:
桑実胚期
、6: 胞胚期
A(左):頭索動物の卵割(等黄卵)
B(中):両生類の卵割(中黄卵)
C(右):鳥類の卵割(盤割)
受精卵や無性生殖におけるなんらかの細胞塊が成体に到達する過程のことを
発生
(はっせい、
development
)と呼ぶ
59
。有性生殖では、一倍体である精子と卵(未受精卵)が受精する事で、二倍体の受精卵が形成され、発生が開始する
57
。精子由来の
ミトコンドリア
は酵素により分解されるので
60
、ミトコンドリアなどの
細胞小器官
や母性因子と呼ばれる
mRNA
機能タンパク質
は卵細胞のみから受精卵に伝わり
61
、子の表現型は母親の影響を受ける
母性効果
materal effect
) が現れる
62
。胚発生以前から卵には極性(軸性、
polarity
)があり、卵前核に近い方の極を
動物極
(どうぶつきょく、
animal pole
)、そうでない極を
植物極
(しょくぶつきょく、
vegetal pole
)と呼ぶ
63
。前者は幼生の中でも運動や感覚に関する部分、後者は消化器系となり、これらがかつてそれぞれ動物的機能と植物的機能と呼ばれていたためこれらの名がある
63
発生が進行すると、胚のそれぞれの部分は特定の組織になるが、その決められた先を
予定運命
(よていうんめい、
presumptive fate
)と呼ぶ
64
。ある動物において、初期の発生(2細胞期や4細胞期)では等しい分化能力(
全能性
)を持ち、すべての組織や器官を形成し得る
38
65
。ウニの2細胞期の各割球を分けると、それぞれ受精卵と同様に発生が進行する
65
。逆に、4細胞期の環形動物や軟体動物の割球は完全な胚にならない
65
。発生運命が不可逆的に決まることを
決定
(けってい、
determination
)といい、前者のような状態を「未決定である」(
indeterminate
adj.
)、後者のような状態を「決定している」(
determinate
adj.
) と表現する
65
66
67
。胚発生における発生運命の限定には可逆的に限定された
指定
specification
) と不可逆的な決定があり、普通は指定ののちに決定が起こる
66
。Conklin は胚発生の初期において、予定運命の決定が早い段階で起こるものを
モザイク卵
(モザイクらん、
mosaic egg
)、発生運命が未決定で、各部が影響を及ぼしあいながら順次決まっていくものを
調整卵
(ちょうせいらん、
regulative egg
)と呼んだ
67
。前者には
有櫛動物
紐形動物
線形動物
環形動物
節足動物
軟体動物
尾索動物
68
、後者には
刺胞動物
紐形動物
棘皮動物
腸鰓類
半索動物
)、
脊椎動物
などが挙げられる
69
卵割
編集
→「
卵割
」も参照
受精卵は
卵割
(らんかつ、
cleavage
)という体細胞分裂を繰り返す事で多細胞からなる胚を形成する
60
70
71
。一般的な体細胞分裂とは異なり、卵割の際は核は複製されるが細胞質は卵細胞のものを分割して使うという特徴がある
60
。卵割は分裂溝(ぶんれつこう、
cleavage furrow
)により細胞が2つの
割球
(かっきゅう、
blastomere
)と呼ばれる細胞に分割されておこる
71
。卵割という用語は受精卵の最初の数回の分割に対して使われる
72
卵割様式は
卵黄
の蓄積部位の影響を受ける
70
73
棘皮動物
毛顎動物
のように卵黄が等しく分布する等黄卵 (
homolecithal egg
注釈 9
)の場合は、ウニのように
等割
(とうかつ、
equal cleavage
)を行うか、
環形動物
や多くの
軟体動物
のように
不等割
(ふとうかつ、
unequal cleavage
)となる
70
73
。これらは卵割面が割球同士を完全に仕切るため
全割
と呼ばれる
71
。それに対し、
端黄卵
(たんおうらん、
telolecithal egg
)では分裂溝が卵黄の少ない動物極から現れるため、ハート形分裂(クラゲ型分裂;
刺胞動物
)の時期を経る
70
73
。クラゲ型分裂がより極端になると、
頭足類
軟体動物
)のように最初の分裂溝が植物極に達しないまま次の分裂溝が動物極に現れる
盤割
(ばんかつ、
discoidal cleavage
)を行う
70
節足動物
イソギンチャク
(のように多量の卵が中央にたまっている
心黄卵
注釈 10
centrolecithal egg
)では、
表割
(ひょうかつ、
superficial cleavage
)が行われる
70
73
71
。第3分裂(4細胞期から8細胞期)では、不等割を行うものでは
動物極
側のものは小さく、
植物極
側のものは大きいため、それぞれ
小割球
(しょうかっきゅう、
micromere
)と
大割球
(だいかっきゅう、
macromere
)と呼ばれる
72
74
また、卵割では分裂ごとに紡錘体のとる位置や方向が定まっているためそれぞれの分裂方向が一定しており、大きく分けて
放射卵割
(ほうしゃらんかつ、
radial cleavage
)と
螺旋卵割
(らせんらんかつ、
spiral cleavage
)の2つの卵割配置 (
cleavage pattern
) がある
72
74
。放射卵割では、各分裂の分裂面がその前の分裂に対して直角に起こり、分裂面は卵軸に対して平行か直角に規則正しく起こる
74
。8細胞期以降は不規則な分裂が混ざってくるものが多い
74
。分類群としては、
刺胞動物
72
有櫛動物
72
箒虫動物
72
ウニ類
棘皮動物
72
毛顎動物
75
腕足動物
75
が挙げられる。螺旋卵割では4細胞期から8細胞期(第3分裂)に紡錘体が卵軸に対し45°の角度をなして斜めに位置する
72
75
。その後の各分裂はだいたい互いに直角に行われるが、初めの分裂面が卵軸に対し傾いているため、以降の分裂面もすべて卵軸に対して角度をなして交わり
74
、螺旋状に並ぶ
72
。分類群としては、
扁形動物
72
75
環形動物
72
75
軟体動物
72
75
に代表され、
紐形動物
75
内肛動物
75
など少なくとも8つの門が螺旋卵割を行う
75
。なお、環形動物および軟体動物の一部では極体放出および卵割と同期して植物極の細胞質が縊り出され、無核の極葉形成(きょくようけいせい、
polar lobe formation
)が起こる
70
。極葉は一方の割球と合併され、その細胞質は将来の中胚葉となる
70
。8細胞期で大割球から縊り出された4個一組の小割球は
第一クオテット
(第一四つ組、
1st quartette
)と呼ばれる
74
。また、4細胞期の各細胞からつながる細胞系譜を持つそれぞれの系統を
クアドラント
(四分区、
quadrant
)と呼ぶ
74
。なお、
節足動物
などではこのどちらにも当てはまらない
76
胞胚期
編集
卵割が進み、細胞が小さくなって胚表面が上皮的に滑らかになると卵割期から胞胚期に移行したとみなされる
71
。この時期の胚は1層の細胞層で囲まれた球形で、
胞胚
(ほうはい、(
blastula
)と呼ばれる
77
。初期胚の内部には卵割腔が形成されるが、細胞数が増加することで細胞同士が
密着結合
を形成すると、卵割腔内にNa
やCl
といったイオンが能動輸送され、浸透圧が上昇して内部から水が浸入し胞胚腔液で満たされる大きな
胞胚腔
blastocoel
注釈 11
) が形成される
61
。卵割腔(胞胚腔)をもつ胞胚を特に中空胞胚 (
coeloblastula
) と呼び、不等割を行う胚では胞胚の内部は卵黄を含んだ植物極側の大きな細胞で満たされるため中実胞胚 (
stereoblastula
) と呼ばれる
77
。卵黄量の多い盤割をするものでは細胞は動物極側に偏った胚盤(はいばん、
blatodisc
)を形成し、そのような胞胚を盤胞胚(ばんほうはい、
discoblastula
)と呼ぶ
77
。また表割を行う胞胚では細胞形成は胚の外周でのみ行われるため、囲胞胚(いほうはい、
periblastula
)と呼ばれる
77
なお、
昆虫
両生類
など多くの動物では、卵割期の細胞増殖を急激に行うために通常の細胞分裂で行われる一部の過程(
の過程)が省略され早い細胞分裂が続くが
76
78
、胞胚中期になるとこの省略が終わり、形態形成に必要な転写、細胞の移動や誘導が始まる
中期胞胚遷移
(中期胞胚転移、中期胞胚変移)が起こる
76
79
。それに対し
哺乳類
では分裂速度が遅く、2細胞期から既に転写が始まる
76
嚢胚形成
編集
被いかぶせによる嚢胚形成。
1, 4: 外胚葉、2, 5: 内胚葉、3: 胞胚腔、6: 原口
胞胚は
内胚葉
外胚葉
から分画される
嚢胚形成
(原腸胚形成
61
gastrulation
)を経て
嚢胚
原腸胚
61
gastrula
)期に至る
65
77
。嚢胚は内外二重の細胞層からなり、胚葉の区別が現れる
77
。嚢胚を形成する方法は分類群により異なり、最も一般的なものは
陥入
(かんにゅう、
invagination
または
まくれこみ
emboly
)である
65
77
。陥入では植物極側の細胞層が胞胚腔に向かって折れ曲がり、内胚葉となる
77
。内胚葉のつくられた盲管状の部分を
原腸
(げんちょう、
archenteron
)、その入口を
原口
(げんこう、
blastopore
)と呼ぶ
65
77
。この嚢胚形成の方法は
棘皮動物
などに典型的で
65
、棘皮動物では原腸の両壁には広い胞胚腔が残されているが、箒虫動物では原腸の壁に外肺葉が密着し、胞胚腔を残さない
77
。以降に示す被いかぶせや内展も陥入の変形とみられている
77
。環形動物や軟体動物では
被いかぶせ
(おおいかぶせ、
epiboly
)という方法で嚢胚形成が行われる
65
77
。胞胚における動物極側の小割球の分裂が先に進行して、卵黄に富んだ植物極側の大割球を包囲することによって嚢胚ができる
65
77
。小割球由来の外側の細胞が外胚葉層となり、内側の大割球群が内胚葉となる
77
。被いかぶせでは、胞胚腔はかなり縮小している
65
。また、内胚葉細胞塊ははじめ原腸を形成しないため、外胚葉に覆われていない部分を原口と呼んでいるが、発生の進行に伴って原腸を形成し、原口と連絡する
77
。この場合、原口から落ち込んだ外胚葉の細胞層を、口陥(こうかん、
stomodaeum
)と呼ぶ
77
。盤胞胚を形成する頭足類では、胚盤葉の一端がその下に折れ込んで前方に延長する
内展
(ないてん、
involution
)によって内胚葉が形成される
77
もう一方の嚢胚形成の方法は
葉裂法
(ようれつほう、
delamination
)と呼ばれ、主に刺胞動物にみられる
65
77
。狭義の葉裂法は
カラカサクラゲ
Geryoniidae
にのみ見られ、中空胞胚において外壁を作る細胞が一様に胞胚腔に向かって分裂すると、胞胚腔内に出た細胞は規則正しく配列して内胚葉の嚢を作る
77
ヒドラ
などが行う方法は
多極法
(たきょくほう、
multiopolar proliferation
)と呼ばれ、胞胚法を形成している細胞が各所で胞胚腔内にすべり落ち、それが内胚葉の嚢を形成する
77
。それに対し、
ウミコップ属
Clytia
では植物極のみから細胞がすべり落ちるため、
単極法
(たんきょくほう、
uniopolar proliferation
)と呼ばれ、多極法と併せて
極増法
(きょくぞうほう、
polarization
)と呼ばれる
77
。葉裂法を行う嚢胚の多くは
中実嚢胚
(ちゅうじつのうはい、
stereogastrula
)で、発生が進行するまで原腸も原口も持たない
65
77
中胚葉形成
編集
→「
胚葉性
」、および「
体腔
」も参照
左右相称動物では、内胚葉および外胚葉とは別に、
体腔
と関連して中胚葉の形成が起こる
80
。刺胞動物や有櫛動物では外肺葉から細胞が零れ落ち、外中胚葉性の間充織細胞を作る
36
棘皮動物
箒虫動物
など、内中胚葉でも間充織細胞として形成されるものはあるが、内中胚葉は普通表皮の形をとる
36
螺旋動物
では、まず第二クオテットまたは第三クオテットから
外中胚葉
性の間充織細胞が形成される
77
。その後、D四分区の
4d
細胞(中胚葉帯端細胞、
mesoblastic teloblast
)から内胚葉由来の中胚葉が生まれる
36
。第四クオテットの他の細胞(
4a, 4b, 4c
)は内胚葉となる
36
。かつては
4d
細胞の系統にある子孫細胞は全て中胚葉になると考えられていたが、内胚葉も含んでいる
36
4d
細胞は胞胚腔内に落ちると左右に分裂し、胚の分化に伴い肛門になる部分の左右前方に位置しながら前方に細胞を送り、
中胚葉帯
mesoderm band
)を作る
36
。これを「端細胞による中胚葉形成法
telobblstic method
」と呼ぶ
36
。環形動物などでは、この中胚葉帯内に体腔が形成され、これが裂体腔と呼ばれる
36
節足動物でも、中胚葉は1対の細胞帯として出現する。しかし螺旋動物のように特定の細胞ではなく、原口の周囲の細胞群に由来している
36
腸体腔をもつ後口動物および毛顎動物、腕足動物などでは、原腸壁の一部が胞胚腔に向かって膨出 (
evagination
80
) し、そこから分離して胞胚腔内で独立した体腔嚢(たいこうのう、
coelomic vesicle
)を形成する
36
。こうしてできた体腔は腸体腔であり、それを囲む壁が中胚葉である
36
。脊椎動物においては、両生類(
無羊膜類
)では中胚葉の形成と原腸の形成が同時に起こるが、
羊膜類
(鳥類や哺乳類)では、中胚葉の形成が先に行われ、その後卵黄嚢と連続する内胚葉の一部が中胚葉に包み込まれるようにしてくびれ、原腸の形成が行われる
61
81
細胞分化と器官形成
編集
脊椎動物などでは、組織や器官を形成するため、胚細胞が特定の機能を持った細胞に変化する(
細胞分化
82
。この際、基本的な細胞機能の維持に必要な遺伝子(
ハウスキーピング遺伝子
)の機能は残しつつ、特定の機能に必要な遺伝子を新たに発現し、逆に分化後には不必要になる遺伝子を
DNAメチル化
により不活性化する
82
脊椎動物などでは原腸胚期の後、
神経管
が形成される
神経胚
期へと進む。例えば
ニワトリ
では、外胚葉に
神経板
という領域ができ、それが胚の内側に丸まる事で
神経管
ができ、さらに直下に
脊索
が形成される
83
。神経管の前方には
前脳
中脳
後脳
という3つの膨らみが形成され、これらが将来
になる
83
。脊索の両側の沿軸中胚葉から
体節
が形成され、体節と隣接した外側の中間中胚葉からは
腎節
が形成される
84
。体節はやがて
皮節
筋節
硬節
に分かれ、これらはそれぞれ皮膚の
真皮層
骨格筋
椎骨
などが形成され
84
、腎節からは腎臓や生殖腺が形成される
84
。中間中胚葉のさらに外側には予定心臓中胚葉という、将来
心臓
関連の組織になる部分があり、これは壁側中胚葉と臓側中胚葉に転移する
85
。前者からは体腔を覆う
胸膜
腹膜
が形成され、後者からは
心筋
平滑筋
血管
血球
などが形成される
86
。心臓は生命の維持に不可欠なので、発生の早い段階で中胚葉から形成される
85
。なお、予定心臓中胚葉は中胚葉の
正中線
を隔てた両側に2つ存在するが、これら2つは移動して胚の前方で合流して心臓を形成する
85
。脊椎動物では外胚葉と中胚葉の相互作用で四肢が形成される
87
ヒト
の手足は水鳥と違い、指の間に水かきがないが、これは
アポトーシス
の作用で水かき部分の
細胞を「自殺」
させている為である
81
起源と進化
編集
起源
編集
動物の起源については、単細胞生物の
襟鞭毛虫
が集まって多細胞化する事で
海綿動物
のような動物になっていったと考えられる
88
。これを
ガストレア説
(群体繊毛虫仮説)と呼ぶ
88
。ヘッケルは動物の初期発生に基づき、襟鞭毛虫のような原生動物から、胞胚に相当する1層の細胞層を持つ中空の祖先型動物ブラステア (
Blastea
) が生じ、次に嚢胚に相当する二重の細胞層からなる袋状のガストレア(腸祖動物、
Gastraea
)が生じたと想定した
89
なお従来は、上述した
襟鞭毛虫
類から進化したとする
ヘッケル
の説と
繊毛虫
類から進化したとするハッジの説(多核体繊毛虫仮説、合胞体繊毛虫仮説)が対立していたが、分子遺伝学の成果によれば、18SrDNAに基づいた解析などにより、動物は
襟鞭毛虫
類を姉妹群に持つ
単系統
な群であることが示されており、ヘッケルの説が有力とされている
88
89
。ハッジの説は生態学的な視野のもと、多核繊毛虫から無腸動物のような原始的な左右相称動物が生じたと考え、後生動物の起源を左右相称動物に求めた
89
この多細胞化が起こった仮説として、現在までに様々なものが提案されてきた
90
。複雑な多細胞生物の出現は、
生物圏
酸化
が進むまで妨げられたという説が広く受け入れられてきた
90
。ほかにも動物が多様化するきっかけとして、クライオジェニアンやエディアカラ期の全球凍結の環境的制約から後生動物の祖先が解放されたこと、宇宙放射線の影響、極移動、大陸の分断、
硫化水素
の毒性、塩分、微量金属の栄養塩の不足、海に栄養塩をもたらす大陸風化の周期、地球温暖化、または活発になった捕食者と捕食者の軍拡競争などが考えられるが、必ずしも相互に排他的なものではない
90
。なおこれらの仮説は、多少なりとも、後生動物の多様化との因果関係につながるが、結局推定される時間的な一致に依存しており、地球規模の海の大酸化は後生動物が進化した原因ではなく、後生動物の出現による結果であると主張されている
90
古生物
編集
先カンブリア時代
編集
地質時代
先カンブリア時代
* 1
* 2
累代
基底年代
Mya
* 3
顕生代
新生代
66
中生代
251.902
古生代
541
原生代
新原生代
エディアカラン
635
クライオジェニアン
720
トニアン
1000
中原生代
ステニアン
1200
エクタシアン
1400
カリミアン
1600
古原生代
スタテリアン
1800
オロシリアン
2050
リィアキアン
2300
シデリアン
2500
太古代
* 4
新太古代
2800
中太古代
3200
古太古代
3600
原太古代
4000
冥王代
4600
基底年代の数値では、この表と本文中の記述では、異なる出典によるため違う場合もある。
基底年代の更新履歴
百万年前
「始生代」の新名称、日本地質学会が2018年7月に改訂
オタヴィアの化石
30億年以上前に地球上で初めての生物が誕生したと考えられており、真核生物の最古の化石(
グリパニア
Grypania
)は21億年前の地層から発見されている
91
92
確実な化石記録により較正した
分子時計
から、
クラウングループ
としての後生動物は
新原生代
クライオジェニアン
(8億3300万年前–6億5000万年前)に誕生したと推定されている
90
最古の化石記録に関しては議論があり、異論の余地がない確実な動物化石の証拠は
顕生代
に入ってからに限られている
90
93
。また左右相称動物の動物門の確固たる証拠はカンブリア紀になるまでない
94
95
。とはいえ、動物の進化は先カンブリア時代からの歴史があるという見方が一般的になってきている
90
動物のものかもしれない最古の化石は
2012年
ナミビア
の7億6000万年前、
クライオジェニアン
地層
Okakuyu Formation
) で発見された
オタヴィア・アンティクア
Otavia antiqua
)である
96
97
98
。これは0.3–5
mm
ミリメートル
程度の
かりんとう
のように細長い歪な卵形をした
リン酸カルシウム
からなる化石で、
海綿動物
だと考えられている
96
97
。海綿動物だとすると表面に空いている多数の細孔から微小な
プランクトン
濾過摂食
したものと考えられる
96
99
。なお、オタヴィアは7億6000万年前だけでなく、6億3500万年前、5億4800万年前(エディアカラ紀)の地層からも見つかっている
96
97
。また
オーストラリア
南オーストラリア州
からは6億6500万年の
トレゾナ層
Trezona Formation
) からも、初期の
海綿動物
ではないかと考えられている化石も見つかっている
100
。クライオジェニアン(約6億3500万年前)からカンブリア紀初期までの約100年にわたり連続して
普通海綿
の存在を示しているとされた
生命存在指標
(バイオマーカー)は
101
、現在では共生細菌に由来するものだろうとされている
102
全球凍結
直後、約6億3000万年前の
陡山沱
の動物の胚化石(ドウシャントゥオの胚化石、
Doushantuo embryos
)とされていたものは
103
104
、現在では
原生生物
硫黄細菌
ではないかと解釈されている
105
106
107
エディアカラ生物群
の一つである
ディッキンソニア
分子時計によれば、続く
エディアカラ紀
(エディアカラン)に
左右相称動物
のほとんどの門が多様化したと考えられている
108
90
。また、エディアカラ紀の5億7500万年前から5億4100万年前にかけては
エディアカラ生物群
と呼ばれる生物群が多く見つかっている
109
110
。エディアカラ生物群とカンブリア紀以降の動物との類縁関係は未だはっきりしていないが
91
110
、その形態から
ランゲオモルフ
111
Rangeomorpha
Dickinsoniomorpha
Erniettomorpha
に分けられる
109
。エディアカラ生物群は
新原生代
クライオジェニアン
紀の
全球凍結
(スノーボールアース、全地球凍結)の後、5億7500万年前から5億6500万年前の間に放散(
Evolutionary radiation
)したと考えられ、それを「
アヴァロンの爆発
Avalon explosion
」と呼ぶ
112
113
110
。エディアカラ生物群のうち、
ディッキンソニア
Dickinsonia
Andiva
ヨルギア
Yorgia
とランゲオモルフは左右相称動物であったとする研究もある
109
ほか、
海綿動物
Eocyathispongia qiania
114
115
軟体動物
キンベレラ
Kimberella quadrata
116
、そして無数の
刺胞動物
Haootia quadriformis
117
118
節足動物
パルヴァンコリナ
Parvancorina
119
とみられるものもあり、
真正後生動物
や左右相称動物のグレード
にあると推定されている動物の痕跡も見つかっている
120
121
122
123
124
エディアカラ紀末期の5億4900万年前ごろには、硬組織を獲得していた
クロウディナ
Cloudina
と呼ばれる化石が発見されており、現生の動物との類縁関係が分からず、
古杯動物
と呼ばれる
125
。この少し前の約5億6000万年前から約5億5000億年前のエディアカラ生物群の中にも硬組織を持つ
コロナコリナ
Coronacollina acula
が見つかっている
126
古生代
編集
地質時代
顕生代
* 1
* 2
累代
基底年代
Mya
* 3
顕生代
新生代
第四紀
2.58
新第三紀
23.03
古第三紀
66
中生代
白亜紀
145
ジュラ紀
201.3
三畳紀
251.902
古生代
ペルム紀
298.9
石炭紀
358.9
デボン紀
419.2
シルル紀
443.8
オルドビス紀
485.4
カンブリア紀
541
原生代
2500
太古代
* 4
4000
冥王代
4600
基底年代の数値では、この表と本文中の記述では、異なる出典によるため違う場合もある。
基底年代の更新履歴
百万年前
「始生代」の新名称、日本地質学会が2018年7月に改訂
カンブリア紀
の生物
アノマロカリス
の復元図
古生代
カンブリア紀
初期 (
Nemakyt-Daldynian
)、約5億4200万年前には
珪酸
塩や
炭酸
塩、
リン酸
塩からなる
骨片
(硬組織)をもつ
微小有殻化石群
(SSFs,
Small Shelly Fossils
) が見られる
127
128
95
129
。化石に残る硬組織を獲得し、急速に多様な動物が出現したため、「
カンブリア爆発
」(カンブリア大爆発)と呼ばれる
127
130
131
129
海綿動物
軟体動物
腕足動物
節足動物
棘皮動物
環形動物
脊索動物
など、現在の動物門のほとんどを占める30余りの動物門
127
が化石記録に残っている。かつては現在とは無縁で現生動物よりも多数の動物群が突然出現したと考えられていたが、カンブリア紀以前の動物化石が発見されたり、カンブリア紀の生物群と現生の動物との類縁関係が判明してきたため、現在ではカンブリア爆発は複雑な器官(眼、触手、脚)を獲得したことよる活発な行動様式の発達および硬組織の発達による左右相称動物の多様化であると捉えられている
131
132
。5億3200万年前には
Aldanella yanjiahensis
と呼ばれる軟体動物の化石が見つかっている
90
。約5億2100万年前(
トモティアン
)になると、動物は眼を獲得し、それまで意味を持たなかった硬組織が防御や捕食に有利になり、それが軍拡競争として働いて多様な姿を持つ動物群が現れたと考えられている(
光スイッチ説
131
。また分子時計の解析から遺伝子レベルの生物の爆発的多様化はこれより数億年早いと考えられる
90
131
注釈 12
。カンブリア紀からオルドビス紀初頭にみられる大
不整合
の研究から、カンブリア爆発の原因は海洋中の化学成分(Mg
2+
、Na
、K
、Ca
2+
、Fe
2+
などの
イオン
)が増加した影響が指摘されている
133
。カンブリア爆発は2000万年
134
135
から2500万年
136
137
続いた。
前期
オルドビス紀
にはカンブリア紀までに登場した動物門が大きく
適応放散
127
、これは
GOBE
The Great Ordovician Biodiversification Event
) と呼ばれる
138
オルドビス紀末に
大量絶滅
O-S境界
)があったが、
無顎類
(顎の無い
脊椎動物
)は生き残り、
シルル紀
に多様化し、顎のある脊椎動物も登場した
127
デボン紀
には
硬骨魚類
が多様化し、
石炭紀
には
両生類
が繁栄、
ペルム紀
には
爬虫類
が繁栄した
127
シルル紀には最古の陸上動物の化石である節足動物
多足類
が登場し、
デボン紀
に節足動物が多様化、
石炭紀
には翅を持つ
昆虫類
が登場した
127
中生代
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トリケラトプス
の骨格
化石
ペルム紀末には地球史上最大の大量絶滅(
P-T境界
)が起こり、
中生代
三畳紀
には海洋生物が大量に絶滅
127
哺乳類
が登場した
127
ジュラ紀
には
恐竜
が繁栄し、
鳥類
も登場した
127
。また、軟体動物の殻を破る
カニ類
硬骨魚類
が進化し、これに対抗して厚い殻をもつ軟体動物が進化した(中生代の海洋変革)
127
白亜紀
までには現生の昆虫類のほとんどが登場
127
白亜紀末には巨大
隕石
の衝突による大量絶滅がおこる(
K-Pg境界
127
新生代
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新生代
は哺乳類が優勢になり、鳥類、昆虫類、
真骨魚類
適応放散
し、現在と同様の動物相が形成された
127
。新生代の後半にあたる
第四紀
には人類も出現した。
化石動物についての動物門
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化石動物について、上記の分類される現存動物門のいずれにも属さないとして、新たな動物門が提唱されることがある。以下に主要なもののみ挙げる。
†三裂動物門
Trilobozoa
Fedonkin,
1985
トリブラキディウム
などが属する。三放射相称の体制をもつ。
†盾状動物門
Proarticulata
Fedonkin,
1985
ディッキンソニア
ヨルギア
などのヴェンド生物が属する。左右相互に対称する体制をもつ。
古虫動物
Vetulicolia
Shu
et al
.,
2001
ウェツリコラ
などが属する。その後は
脊索動物
とされ、その1亜門(古虫動物亜門)になる
139
葉足動物
Lobopodia
Snodgrass
1938
アイシュアイア
ハルキゲニア
などが属する。
汎節足動物
であり、現生汎節足動物の各動物門(
有爪動物
緩歩動物
節足動物
)の
最も近い共通祖先
から、それぞれの
初期に分岐した系統
ステムグループ
)の一部まで含んだ
側系統群
であると考えられる
140
141
絶滅した動物
編集
→「
絶滅した動物一覧
」を参照
現生の動物の系統
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下位分類
編集
カイメン
種名 1
(海綿動物門)
カイロウドウケツ
種名 2
(海綿動物門)
クシクラゲ
種名 3
(有櫛動物門)
クラゲ
種名 4
(刺胞動物門)
サンゴ
種名 5
(刺胞動物門)
センモウヒラムシ
種名 6
(平板動物門)
無腸類
種名 7
(珍無腸動物門)
チンウズムシ
種名 8
(珍無腸動物門)
ヒトデ
種名 9
(棘皮動物門)
ナマコ
種名 10
(棘皮動物門)
ウニ
種名 11
(棘皮動物門)
ギボシムシ
種名 12
(半索動物門)
ナメクジウオ
種名 13
(頭索動物門)
ホヤ
種名 14
(尾索動物門)
哺乳類
種名 15
(脊椎動物門)
ヤムシ
種名 16
(毛顎動物門)
トゲカワ
種名 17
(動吻動物門)
エラヒキムシ
種名 18
(鰓曳動物門)
コウラムシ
種名 19
(胴甲動物門)
回虫
種名 20
(線形動物門)
ハリガネムシ
種名 21
(類線形動物門)
クマムシ
種名 22
(緩歩動物門)
カギムシ
種名 23
(有爪動物門)
昆虫類
種名 24
(節足動物門)
甲殻類
種名 25
(節足動物門)
チョクエイチュウ
種名 26
(直泳動物門)
ニハイチュウ
種名 27
(二胚動物門)
パンドラムシ
種名 28
(有輪動物門)
グナトストムラ
注釈 13
種名 29
(顎口動物門)
リムノグナシア
種名 30
(微顎動物門)
ワムシ
種名 31
(輪形動物門)
イタチムシ
種名 32
(腹毛動物門)
プラナリア
種名 33
(扁形動物門)
条虫
種名 34
(扁形動物門)
二枚貝
種名 35
(軟体動物門)
頭足類
種名 36
(軟体動物門)
ミミズ
種名 37
(環形動物門)
ゴカイ
種名 38
(環形動物門)
ユムシ
種名 39
(環形動物門)
ホシムシ
種名 40
(環形動物門)
ヒモムシ
種名 41
(紐形動物門)
シャミセンガイ
種名 42
(腕足動物門)
ホウキムシ
種名 43
(箒虫動物門)
コケムシ
種名 44
(苔虫動物門)
スズコケムシ
種名 45
(内肛動物門)
各動物門に含まれる代表的な動物の例(和名は総称、詳細は「種名」を参照)
以下に
『動物学の百科事典』(2018)
で認められている分類体系における動物の門を示す。
著者名
巌佐ほか (2013)
による。各動物門どうしの系統関係などの詳細については異説もあるため、ここでは省略し、次節以降を参照。研究の進展により廃止された門については
#かつて存在した動物門
を参照。また、門の詳細に関しては各項を参照。
海綿動物門
Porifera
Grant
1836
有櫛動物門
Ctenophora
Eschscholtz
1829
注釈 14
刺胞動物門
Cnidaria
Verrill
1865
注釈 14
平板動物門
Placozoa
K.G. Grell,
1971
(板形動物)
珍無腸動物門
Xenacoelomorpha
Philippe
et al.
2011
注釈 15
棘皮動物門
Echinodermata
Leuckart
1854
半索動物門
Hemichordata
Bateson
1885
頭索動物門
Cephalochordata
Lankester,
1877
注釈 16
尾索動物門
Urochordata
Lankester,
1877
注釈 16
脊椎動物門
Vertebrata
J-B. Lamarck
1801
有頭動物
Craniata
Lankester,
1877
注釈 16
毛顎動物門
Chaetognatha
Leuckart
1854
胴甲動物門
Loricifera
Kristensen
1983
動吻動物門
Kinorhyncha
Reinhard,
1887
鰓曳動物門
Priapulida
Théel,
1906
線形動物門
Nematoda
Diesing
1861
Nemata
Cobb,
1919
類線形動物門
Nematomorpha
Vejedovsky,
1886
Gordiacea
von Siebold,
1843
緩歩動物門
Tardigrada
Spallanzani
1777
節足動物門
Arthropoda
Siebold & Stannius,
1845
有爪動物門
Onychophora
Grube,
1853
直泳動物門
Orthonectida
Giard
1877
注釈 17
二胚動物門
Dicyemida
van Beneden
1876
(菱形動物
150
Rhombozoa
van Beneden
1882
注釈 17
有輪動物門
Cycliophora
Funch & Kristensen,
1995
顎口動物門
Gnathostomulida
Ax,
1956
微顎動物門
Micrognathozoa
Kristensen & Funch,
2000
輪形動物門
Rotifera
Cuvier
1798
注釈 18
腹毛動物門
Gastrotricha
Metschnikoff
1864
扁形動物門
Platyhelminthes
Hyman,
1951
Plathelminthes
Schneider
1873
苔虫動物門
Bryozoa
(外肛動物
Ectoprocta
Nitche,
1870
内肛動物門
Entoprocta
Nitche,
1869
(曲形動物
Kamptozoa
Cori,
1921
箒虫動物門
Phoronida
Hatschek,
1888
腕足動物門
Brachiopoda
A.M.C. Duméril
1806
紐形動物門
Nemertea
Quatrefages
1846
Rhynchocoela
Schultze,
1851
軟体動物門
Mollusca
Cuvier
1797
環形動物門
Annelida
J-B. Lamarck
1809
注釈 19
系統樹
編集
1990年代以前は左右相称動物は
原腸
が口になるか否かで
前口動物
、後口動物に分類され、さらに
体腔
が無体腔、偽体腔、真体腔のいずれであるかにより分類されていた。しかし1990年代の18S rRNA遺伝子の解析により、体腔の違いは進化とは関係ない事が判明し、上述の意味での後口動物は単系統でない事が示されたので、いくつかの動物門を新口動物から外し(
後述
)、前口動物に移した
155
。このような変更を施した後の前口動物が
単系統
であることが支持されている
146
156
157
下記は主に
ギリベ (2016)
の系統仮説に基づく系統樹に、
ラーマーら (2019)
による分子系統解析の結果を加えて、動物界の系統樹を門レベルまで描いたものである
11
158
159
注釈 20
。ただし、2018年現在、分子系統解析が進展中ということもあり、完全に合意がなされたものではない。本項はこの系統樹に基づき以下の小節にて解説を行う。
後生動物
海綿動物
Porifera
有櫛動物
Ctenophora
刺胞動物
Cnidaria
平板動物
Placozoa
左右相称動物
珍無腸動物
Xenacoelomorpha
注釈 21
有腎動物
後口動物
水腔動物
棘皮動物
Echinodermata
半索動物
Hemichordata
Coelomopora
脊索動物
頭索動物
Cephalochordata
尾索動物
Urochordata
脊椎動物
Vertebrata
Chordata
Deuterostomia
前口動物
毛顎動物
Chaetognatha
注釈 22
脱皮動物
動吻動物
Kinorhyncha
有棘動物
Scalidophora
鰓曳動物
Priapulida
胴甲動物
Loricifera
糸形動物
線形動物
Nematoda
類線形動物
Nematomorpha
Nematoida
汎節足動物
緩歩動物
Tardigrada
有爪動物
Onychophora
節足動物
Arthropoda
Panarthropoda
Ecdysozoa
直泳動物
Orthonectida
注釈 23
二胚動物
Dicyemida
注釈 24
螺旋動物
注釈 25
担顎動物
顎口動物
Gnathostomulida
微顎動物
Micrognathozoa
輪形動物
Rotifera
Gnathifera
吸啜動物
腹毛動物
Gastrotricha
扁形動物
Platyhelminthes
Rouphozoa
冠輪動物
注釈 25
軟体動物
Mollusca
環形動物
Annelida
紐形動物
Nemertea
内肛動物
Entoprocta
有輪動物
Cycliophora
触手冠動物
腕足動物
Brachiopoda
箒虫動物
Phoronida
苔虫動物
Bryozoa
Lophophorata
Lophotrochozoa
Spiralia
Protostomia
Nephrozoa
Bilateria
ParaHoxozoa
Metazoa
前左右相称動物
編集
動物界
海綿動物
有櫛動物
刺胞動物
平板動物
左右相称動物
海綿動物を最も基部とする分子系統樹の例
159
動物界
有櫛動物
海綿動物
平板動物
刺胞動物
左右相称動物
有櫛動物を最も基部とする分子系統樹の例
159
海綿動物門、平板動物門、刺胞動物門、有櫛動物門の4つは左右相称動物に含まれない動物門で、体の左右相称性がなく、これらをまとめて便宜的に「前左右相称動物」と呼ぶこともある
162
。分子系統解析から、このうち
海綿動物
有櫛動物
の何れかが後生動物で最も系統の基部に位置すると考えられている
11
159
。しかし、海綿動物が系統の最も基部に位置するか
159
163
164
165
166
、有櫛動物が系統の最も基部に位置するか
167
168
169
170
は分子系統解析においてもデータが分かれている。
現在の多様性は単純なものから複雑なものに進化してきたとする考え方のもと、かつては最も単純な平板動物から、細胞の種類がより多い海綿動物、そして神経を持つ刺胞動物、最後に神経系に加え筋系ももつ有櫛動物が進化してきたと考えられた
11
158
。ただし、
襟鞭毛虫
との類似から海綿動物のほうがより原始的な姿に近いとする考えもあった
158
。この進化的な仮説は形態に基づく分岐学的解析においても一時は支持された
158
。しかし、分子系統学が導入された初期にはもう平板動物は二次的に退化したより派生的なグループであることが明らかになり、有櫛動物は刺胞動物より系統の基部に位置することが明らかになった
158
171
。それだけでなく、有櫛動物はほかのすべての後生動物よりも基部に分岐したとする結果が得られた
167
168
。海綿動物は相称性や胚葉がなく体制が単純であるため
162
、最も初期に分岐した後生動物として直感的に受け入れられやすいのに対し、有櫛動物は放射相称、神経系と筋系をもつため、有櫛動物より後に海綿動物が分岐したと考えると筋系や神経系が有櫛動物と
Parahoxozoa
(有櫛動物と海綿動物以外の後生動物)で2回独立に獲得したと考えるか、海綿動物でどちらも1回完全に喪失したと考えなければならないため、大いに議論を呼んだ
11
。系統誤差の影響を軽減することで、再び海綿動物が最も初期に分岐したと考えられる結果が得られている
159
166
海綿動物
Porifera
は相称性がなく胚葉がないなど最も単純なボディプランを持つ
162
。海綿動物の細胞は分化するものの、組織を形成することはなく
172
、複雑な器官をもたない
173
。そういったことから海綿動物は
側生動物
Parazoa
Sollas
1884
と呼ばれることもある
37
刺胞動物
有櫛動物
の体は放射相称性を持ち、唯一の腔所である胃腔の開口は口と肛門を兼ねる
174
。これらの動物門の細胞は組織に分化しているものの、器官を形成していない
175
。中胚葉が形成されない二胚葉性の動物であるとされるが、細胞性である間充織を中胚葉とみなし、
ヒドロ虫綱
以外の
刺胞動物
と全ての
有櫛動物
を三胚葉性とみなす事も多い
152
176
刺胞動物は触手に物理的または化学的刺激により毒を含む刺糸を発射する
刺胞
と呼ばれる細胞器官を持つ
174
。漂泳性(
クラゲ型
)と付着性(
ポリプ型
)という生活様式の異なる2つの型を持ち雌雄異体である
174
。かつては単細胞生物とも考えられていた寄生性の
ミクソゾア
は分子系統解析により刺胞動物に内包されている
176
それに対し有櫛動物は1個の細胞が変形してできた膠胞を持ち、中胚葉性の真の筋肉細胞を持つほか、全てクラゲ型であり、二放射相称で雌雄同体である
177
178
平板動物
は神経細胞も筋肉細胞も持たず、体細胞は6種類しかなく器官や前後左右軸をもたない、自由生活を行う動物として最も単純な体制を持つ
176
。しかし2008年にセンモウヒラムシ
Trichoplax adherens
のゲノム解読がなされ、
シグナル伝達
系、
神経
シナプス
細胞結合
などに関する多くの遺伝子の存在が報告された
176
左右相称動物
編集
→「
左右相称動物
」も参照
4つの門を除いた全ての動物門が左右相称動物である。左右相称動物は完全な三胚葉性で
179
、体が
左右相称
である
179
。外見上は左右対称であるが、内部の臓器は限られた空間の中に各臓器を互いの連結を保ちながら機能的に配置するために、位置や形が
左右非対称
となっている
30
左右相称動物は
肛門
、およびこれらをつなぐ消化管をもち、体内に
体腔
ないし
偽体腔
(線形動物、輪形動物など)を持つ。左右相称動物のボディプランは、前方(運動のとき体の進む方向)と後方の区別、腹側と背側の区別がある傾向があり、したがって左側と右側の区別も可能である
180
181
。運動のとき体の前方へと進むので、進行方向にあるものを識別する
感覚器
や餌を食べる口が前方に集まる傾向にある(
頭化
という)。多くの左右相称動物は
環状筋
縦走筋
のペアを持つので
181
、ミミズのような体が柔らかい動物では
流体静力学的骨格
(水力学的骨格、流体包骨格、
hydrostatic skeleton
)の
蠕動
により動く事ができる
182
。また多くの左右相称動物には
繊毛
で泳ぐことができる
幼生
の時期がある。
以上の特徴は例外も多い。例えば
棘皮動物
の成体は(幼生とは違い)放射相称であるし、
寄生虫
の中には極端に単純化された体の構造をもつものも多い
180
181
珍無腸動物
編集
→「
珍無腸動物
」も参照
珍無腸動物
門(珍無腸形動物門)
Xenacoelomorpha
珍渦虫
無腸動物
からなる左右相称動物であり、その単系統性は分子系統解析から強く支持されている
11
145
。その系統的位置に関しては、左右相称動物の最も初期に分岐したとする説
146
147
と後口動物の一員であるとする説
148
149
158
がある。前者の考えを支持する場合、珍無腸動物以外の全ての門を含む左右相称動物は
有腎動物
Nephrozoa
と呼ばれる
11
146
168
珍渦虫
Xenoturbella
1878年
に発見され、
1949年
に報告されたが、その分類は長らく謎で、
渦虫
の珍しい仲間だと思われていた
183
。しかし2006年以降、分子系統解析により、後口動物に入ることが示唆され、独立した
珍渦虫動物
Xenoturbellida
が設立された
184
185
無腸動物
Acoelomorpha
は無腸類と皮中神経類からなり、それぞれ
扁形動物門
の無腸目および皮中神経類に分類されていたが、1999年の分子系統解析によって初期に分岐した左右相称動物であることが示唆された
145
。Jaume Baguñà と Marta Riutort によって
左右相称動物
の新しい門として分離された
186
2011年、Philippe や
中野裕昭
らは分子系統解析により珍渦虫動物と無腸動物をともに珍無腸動物門という動物門を構成することを提唱した
148
。そして、
チンウズムシ
の自然産卵による卵と胚の観察結果を報告し、摂食性の幼生期を経ない直接発生型であるなどの共通点を指摘した
187
。珍無腸動物門は設立当初新口動物に分類されたが
145
149
188
、その後の研究により当時知られていた左右相称動物のサブクレード、後口動物・脱皮動物・冠輪動物(螺旋動物)のいずれにも属さず、これら3つ(有腎動物)の姉妹群となる最も初期に分岐した左右相称動物とされた
146
147
。しかし2019年に再び長枝誘因などの系統誤差の影響を軽減することで、珍無腸動物は後口動物の
水腔動物
との姉妹群であることが支持された
149
189
毛顎動物
編集
→「
毛顎動物
」も参照
毛顎動物
ヤムシ
と総称される動物で、かつては成体の口が
原口
に由来しないという発生様式から
後口動物
とされてきた
190
191
。しかし、主な中枢神経が腹側にあることや顎毛(餌の捕獲器官)に
キチン質
をもつことなど、
前口動物
の特徴も持つことは古くから知られてきた
191
。分子系統学による解析が始まってから、後口動物ではないことが明らかになった(この頃の解析では後口動物・前口動物のさらに基部の系統に位置した)
192
193
18S rRNA
ミトコンドリアDNA
Hox遺伝子
群および
ESTデータ
を用いた近年の分子系統解析では、
前口動物
であることが明らかになっている
191
。例えば、
Laumer
et al.
(2019)
では、前口動物の
螺旋動物
のうち
担顎動物
に近縁であるとされる
159
。これは、発生過程における初期卵割のパターンが
螺旋卵割
であることや、頭部の背側にある繊毛環が
トロコフォア幼生
の口後繊毛環と共通していることからも支持される
191
。しかしその中でもどの系統的位置に来るかはまだ異説が多い
191
。この理由として、
重複遺伝子
を多く保有することから
ゲノム重複
が起こった可能性があることや、集団内での
遺伝的多型
が多いことから
突然変異
率が高い可能性があることが指摘されている
191
。例えば、
長枝誘引
による悪影響として脱皮動物中の節足動物の枝の中に"mongrel assemblage"という集合ができてしまった結果がある
194
。この中には
多足類
コムカデ
類と
エダヒゲムシ
類だけでなく、脱皮動物の中でも
有爪動物
Hanseniella
Allopuropus
冠輪動物
である軟体動物
頭足類
コウモリダコ
Vampyroteuthis
および
オウムガイ
Nautilus
、そして
毛顎動物
Sagitta
が含まれていた
194
。また、この集合は
CG-rich
グアニン
および
シトシン
が多い)であった
194
。このように、毛顎動物の系統関係を特定するのは困難である
191
脱皮動物
編集
→「
脱皮動物
」も参照
アワフキムシ
の脱皮
体を覆う
クチクラ
脱皮
を行うという共通の特徴を持ち
195
196
197
糸形動物
(広義の線形動物)、
有棘動物
汎節足動物
の3つに分類がなされている
195
糸形動物
11
(広義の線形動物
198
Nematozoa
11
198
または
Nematoida
11
カイチュウ
ギョウチュウ
アニサキス
などからなる
線形動物門
ハリガネムシ目
遊線虫目
(オヨギハリガネムシ類)からなる
類線形動物門
により構成される
199
。例に挙げられた線形動物は
寄生性
であるが、自由生活を送る線形動物も存在し、一部の自由生活種のみ
眼点
を持つ
199
200
。糸形動物は硬いクチクラで覆われ、細い体で、循環器や環状筋を欠き、偽体腔で螺旋卵割を行い、鞭毛のない精子を持つなど、多くの形質を共有する
199
。線形動物は種数や個体数が非常に多いと考えられており、少なくとも数万の未知種を有すると考えられている
199
。線形動物は左右相称であると同時に左右および背側の三放射相称でもある
199
有棘動物
Scalidophora
(頭吻動物
Cephalorhyncha
)は
動吻動物
門、
鰓曳動物
門、
胴甲動物
門をまとめたグループで、冠棘という主に頭部に数列ある環状に並ぶ棘を持つという形質を共有することから名付けられた
201
202
。冠棘に加え、花状器官という感覚器を持つという形質、頭部が反転可能である形質、偽体腔を持つという形質も共有する
201
203
。しかし、分子系統解析による検証は十分になされていない
11
。胴甲動物は鰓曳動物のロリケイト幼生と形態が類似していることから近縁であると考えられてきたが、近年の分子系統解析では他の脱皮動物に近縁である可能性が示されている
202
汎節足動物
編集
→詳細は「
汎節足動物
」、「
葉足動物
」、および「
節足動物
」を参照
汎節足動物
Panarthropoda
は、動物界最大の門である
節足動物
を含む系統群である。汎節足動物は
体節
と、それに対応する
付属肢
神経節
を持つ事を特徴とする
204
205
環形動物
もこの性質を持つため、21世紀以前では環形動物は汎節足動物に近縁である(ともに
体節動物
Articulata
をなす)と考えられていたが、21世紀以降では
分子系統解析
により、近縁性が否定され(
収斂
)、環形動物は別系統である
冠輪動物
に分類されている
205
206
節足動物は
関節
に分かれた
外骨格
を持つ体節と付属肢(
関節肢
)を特徴とする
207
。現生種は
鋏角類
クモ
サソリ
カブトガニ
など)・
多足類
ムカデ
ヤスデ
など)・
甲殻類
カニ・エビ類
フジツボ類
ミジンコ類
など)・
六脚類
昆虫
など)の4
亜門
に分かれ、2010年代中期以降の主流な系統関係は以下のようになっている
208
207
209
節足動物
鋏角類
ウミグモ
Pycnogonida
注釈 26
真鋏角類
カブトガニ類
Xiphosura
クモガタ類
(蛛形類)
Arachnida
注釈 27
Euchelicerata
Chelicerata
大顎類
多足類
ムカデ
Chilopoda
前性類
コムカデ
Pauropoda
双顎類
エダヒゲムシ
Symphyla
ヤスデ
Diplopoda
Dignatha
Progoneata
Myriapoda
汎甲殻類
貧甲殻類
ウオヤドリエビ類
鰓尾類
Branchiura
シタムシ
Pentastomida
Ichthyostraca
貝虫
Ostracoda
ヒゲエビ
Mystacocarida
甲殻類
Crustacea
Oligostraca
多甲殻類
カイアシ類
Copepoda
鞘甲類
Thecostraca
軟甲類
Malacostraca
Multicrustacea
異エビ類
カシラエビ類
Cephalocarida
注釈 28
鰓脚類
Branchiopoda
注釈 28
ムカデエビ類
Remipedia
注釈 28
六脚類
トビムシ
Collembola
カマアシムシ
Protura
コムシ
Diplura
昆虫
類(外顎類)
Insecta
Hexapoda
Allotriocarida
Altocrustacea
Pancrustacea
Mandibulata
Arthropoda
他にも
三葉虫
類や
メガケイラ類
など、
絶滅
種のみ含む節足動物の分類群はいくつか知られるが、現生群との類縁関係ははっきりしない
207
。六脚類は広義の昆虫類で
内顎類
トビムシ
類・
カマアシムシ
類・
コムシ
類、非単系統群)と
外顎類
(狭義の昆虫類)に分かれる
210
。六脚類は21世紀以前では頭部と呼吸器に共通点の多い多足類に近縁と考えられてきたが、21世紀以降では分子系統解析により、甲殻類と
単系統群
汎甲殻類
をなし、
側系統群
の甲殻類から分岐した説が主流となっている
207
。汎甲殻類における六脚類の系統位置は議論の的となり
207
、2000年代の分子系統解析では
鰓脚類
に近縁ともされていたが、2010年代中期以降では更なる全面的な解析により、脳の構造に共通性を持つ
210
ムカデエビ類
の方が六脚類に最も近縁な甲殻類として有力視されている
207
211
汎節足動物は節足動物門以外には
緩歩動物門
有爪動物門
を含む。絶滅した群まで範囲を広げると
葉足動物
と呼ばれる
古生物
をも含む。緩歩動物門に属する動物は
クマムシ
と呼ばれる動物であり
212
、ゆっくり歩く事からその名が名付けられた。陸上に生息する種では、
クリプトビオシス
という極限状態に耐えられる休眠状態になる事が知られている
212
。有爪動物門に属する動物は
カギムシ
と呼ばれ、現生種は真有爪目のみ
212
カンブリア紀
に多様化した葉足動物は、一見して現生の有爪動物に似て、かつては全般的に有爪動物のみに近縁と考えられた
141
213
。しかし1990年代後期以降では、節足動物と緩歩動物的性質をもつ葉足動物の発見
214
215
216
217
218
に否定的とされる。葉足動物は有爪動物のみでなく、むしろ全体的に現生汎節足動物の3つの動物門(節足動物・緩歩動物・有爪動物)の
最も近い共通祖先
と、それぞれの
初期に分岐した系統
ステムグループ
)を含んだ
側系統群
と考えられるようになり、葉足動物と有爪動物の多くの共通点は、汎節足動物の
共有原始形質
に過ぎない
219
140
141
220
螺旋動物
編集
→「
冠輪動物
」も参照
螺旋動物の系統関係
ラーマーら (2019) に基づく分子系統樹の例
75
159
Marlétaz
et al.
(2019) に基づく分子系統樹の例
75
螺旋動物
毛顎動物
担顎動物
Gnathifera
顎口動物
微顎動物
輪形動物
腕足動物
触手冠動物
Lophophorata
箒虫動物
苔虫動物
環形動物
軟体動物
紐形動物
有輪動物
内肛動物
扁形動物
吸啜動物
Rouphozoa
腹毛動物
螺旋動物
毛顎動物
担顎動物
Gnathifera
顎口動物
微顎動物
輪形動物
腕足動物
箒虫動物
苔虫動物
触手冠動物
Lophophorata
腹毛動物
環形動物
紐形動物
Parenchymia
扁形動物
軟体動物
Tetraneuralia
内肛動物
ニシキウズガイ属
(軟体動物
腹足類
)の胚の
螺旋卵割
この
クレード
に属するほとんどが、胚発生において4細胞期から8細胞期に有糸分裂
紡錘体
が動物極-植物極軸と45°ずれる
螺旋卵割
を行うという共有派生形質をもつため
注釈 29
螺旋動物
11
(らせんどうぶつ)もしくは
螺旋卵割動物
153
(らせんらんかつどうぶつ)
Spiralia
と呼ばれる
75
222
223
。これを指して冠輪動物
Lophotrochozoa
s.l.
と呼ぶ場合もあるが
75
、本項を含め、「冠輪動物」の名称を螺旋動物のサブクレードに用いるケースもあるので注意が必要である
注釈 25
螺旋動物は
担顎動物
(たんがくどうぶつ、
Gnathifera
)、
吸啜動物
(きゅうてつどうぶつ、
Rouphozoa
)、
冠輪動物
(かんりんどうぶつ、
Lophotrochozoa
)という3つの系統を含む
153
。冠輪動物は上記の螺旋動物を指すこともあるため、
担輪動物
(たんりんどうぶつ、
Trochozoa
)とも呼ぶ
11
。前者2つを合わせたものを
扁平動物
Platyzoa
と呼ぶこともあるが
151
168
ギリベ (2016)
などでは採用されていない。逆に他の解析では担顎動物を除く吸啜動物と冠輪動物がクレードをなすことがあり、その場合、それらを合わせて
Platytrochozoa
と呼ばれる
222
担顎動物(有顎動物
142
)は微小な体で、クチクラの中に
オスミウム酸
親和性のある物質が詰まった棒状構造からなる顎を持つという形質を共有する
224
142
顎口動物
は咽頭に複雑な顎を持つ動物で、体表面の単繊毛上皮によって移動する
225
微顎動物
は複雑な顎を備え、体の腹面に繊毛を持つ
142
153
輪形動物
単生殖巣類
ヒルガタワムシ類
ウミヒルガタワムシ類
からなり、ウミヒルガタワムシ類と鉤頭動物が姉妹群をなす
153
鉤頭動物
は独立した門とされていたが、そのような系統関係から輪形動物に内包されるか、輪形動物とともに
共皮類
(多核皮動物
224
Syndermata
としてまとめられる
153
。微顎動物および鉤頭動物は体内受精ののちに螺旋卵割を行う
225
224
吸啜動物に含まれる扁形動物と腹毛動物はともに
メイオファウナ
の重要な構成種で、2つの腺により吸着する (
duo-gland adhesive system
) 形質がその共有派生形質ではないかと考えられている
226
冠輪動物(担輪動物)のうち環形動物と軟体動物は
トロコフォア
型の
幼生
を持つという共有派生形質を持つ
227
紐形動物
は翻出する吻を持ち、かつては無体腔と考えられたが、現在では吻が収納される吻腔が裂体腔であると考えられている
227
。冠輪動物のうち、箒虫動物・苔虫動物(外肛動物)・腕足動物は何れも触手冠と呼ばれる構造を持つため
触手冠動物
Lophophorata
と呼ばれ、分子系統解析でも支持されることがある
11
159
228
。冠輪動物はもともと担輪動物と触手冠動物の2つの系統を合わせて呼ばれるようになった語である
179
。分子系統解析の結果、苔虫動物は
内肛動物
と姉妹群をなす(広義の苔虫動物)とされ否定されたこともあったが
11
228
ラーマーら (2019)
などでは単系統性が示されている
159
。また、
有輪動物
内肛動物
と姉妹群をなすことが示唆されている
159
194
軟体動物
編集
→「
軟体動物
」も参照
受精から9時間の海洋性の
腹足類
Haliotis asinina
のトロコフォア
冠輪動物に属する軟体動物門は節足動物門に次いで既知種の大きい門で、骨格を持たず、体節がない軟体からなる
229
。体腔は真体腔であるが退化的で、体内の腔所は組織の間隙を血液が流れるだけの血体腔である
229
。一般的には体は頭部、内臓塊、足からなり、
外套膜
が内臓塊を覆っている
229
。外套膜が分泌した石灰質の貝殻を持つ事が多い
229
。卵割は普通
全割
の螺旋卵割であるが、頭足類では胚盤をもつ
盤割
となる
229
軟体動物の分類は系統解析により一部修正が施され2018年現在は体全体を覆う大きな殻がある有殻類と石灰質の棘を持つ有棘類に大きく分かれるという仮説が有力視されている
230
軟体動物の綱は以下のように分類される
230
軟体動物
有殻類
腹足綱
単板綱
頭足類
掘足綱
二枚貝綱
Conchifera
有棘類
尾腔綱
溝腹綱
多板綱
Aculifera
有殻類は綱レベルの単系統性は多くの場合保証されているが、各綱の系統関係は2018年現在一致を見ていない
230
環形動物
編集
→「
環形動物
」も参照
環形動物は
環帯類
貧毛綱(=ミミズ)
ヒル綱
)、
多毛類(=ゴカイ)
スイクチムシ類
を含む門である。かつては独立した門だと思われていた
有鬚動物
(ゆうしゅどうぶつ、現
シボグリヌム科
)、
ユムシ動物
星口動物
を含むことが分子系統解析から分かり、多毛類がそれらの分類群をすべて内包し、多系統である事もわかった
11
231
Rouse and Fauchald (1997)による形態に基づく従来の系統関係は次の通りである
231
注釈 30
星口動物
Sipuncula
ユムシ動物
Echiura
有爪動物
Onychophora
節足動物
Euarthropoda
狭義の
環形動物
環帯類
Clitellata
多毛類
頭節綱
Scolecida
ヒトエラゴカイ目
Cossurida
ホコサキゴカイ目
Orbiniida
オフェリアゴカイ目
Opheliida
イトゴカイ目
Capitellida
足刺綱
Aciculata
イソメ目
Eunicida
サシバゴカイ目
Phyllodcida
溝副触手綱
Canalipalpata
ケヤリ目
Sabellida
シボグリヌム科
Siboglinidae
を含む)・
フサゴカイ目
Terebellida
スピオ目
Spionida
Polychaeta
Annelida
分子系統解析に基づく系統樹は次の通りである
231
注釈 31
環形動物
Palaeoannelida
チマキゴカイ科
Oweniidae
モロテゴカイ科
Magelonidae
ツバサゴカイ科
Chaetopteridae
星口動物
Sipuncula
ウミケムシ科
Amphinomidae
遊在類
スイクチムシ
Myzostomida
プロトドリロイデス科
Protodriloidae
プロトドリルス科
Protodrilidae
ムカシゴカイ科
Saccocirridae
イイジマムカシゴカイ科
Polygordiidae
足刺類
Aciculata
(上図足刺綱に対応)
Errantia
定在類
環帯類
Clitellata
フサゴカイ亜目
Terebelliformia
タマシキゴカイ科
Arenicolidae
タケフシゴカイ科
Maldanidae
ユムシ動物
Echiura
イトゴカイ科
Capitellidae
オフェリアゴカイ科
Opheliidae
スピオ科
Spionidae
カンムリゴカイ科
Sabellariidae
カンザシゴカイ科
Serpulidae
Fabriciidae
ケヤリ科
Sabellidae
シボグリヌム科
Siboglinidae
(有鬚動物)・
ミズヒキゴカイ亜目
Cirratuliformia
ホコサキゴカイ科
Orbiniidae
パレルゴドリルス科
Parergodrilidae
ディウロドリルス科
Diurodrilidae
ウジムカシゴカイ科
Dinophilidae
ホラアナゴカイ科
Nerillidae
Sedentaria
Pleistoannelida
Annelida
二胚動物・直泳動物
編集
吸啜動物
腹毛動物
扁形動物
「中生動物」
二胚動物
直泳動物
Mesozoa
二胚動物と直泳動物を吸啜動物の姉妹群とする分子系統樹の例
160
分子系統解析から、かつて
中生動物
とされていた
二胚動物
および
直泳動物
はともに螺旋動物に属することが支持されている。ただし、その中でも、二胚動物と直泳動物は姉妹群「中生動物」となり、さらにそれが吸啜動物と姉妹群をなすという結果もあれば
160
、直泳動物は環形動物に内包され、環形動物の極端に退化した形と考えられることもあり
161
、まだ決着はついていない。
後口動物
編集
→「
後口動物
」も参照
前口動物(上図、
Protostomes
)と後口動物(下図、
Deuterostomes
)の発生。
8細胞期 (
eight-cell stage
) では前者は螺旋卵割 (
spiral cleavage
)、後者は放射卵割 (
radial cleavage
) を行う。原腸陥入 (
gastrulation
)においても体腔 (
coelum
) のできる位置が異なることが多く、前者では基本的に裂体腔で後者では基本的に腸体腔である
注釈 32
。また、名の由来の通り前者では原口 (
blastopore
) が口 (
mouth
) となるのに対し、後者では原口が肛門 (
anus
) となる。
ディプリュールラ幼生。
トロコフォア幼生
と対置される。
後口動物(新口動物)は
棘皮動物門
半索動物門
脊索動物
を含み、新口動物とも呼ばれる
151
233
ヘッケル
は新口動物の共通祖先から脊索動物が進化した過程を論じた際、棘皮動物の幼生
注釈 33
と半索動物の
トルナリア幼生
が共有する形質を合わせて、それらの祖先型として、
ディプリュールラ幼生
Dipleurula
) という仮想的な幼生を考えた
234
。ディプリュールラ幼生はトロコフォア幼生と同様に口から肛門に至る消化管、頂器官に感覚器としての長い繊毛、口を中心とした繊毛帯(または繊毛環)、体後端部の端部繊毛帯を持つが、ディプリュールラ幼生では3部性の体腔(原体腔・中脳腔・後脳腔)を持つことおよび繊毛帯の走り方が異なる
234
235
236
2018年現在、棘皮動物と半索動物が姉妹群をなすという説が大勢を締めており
11
237
、これら2つをあわせて水腔動物
Coelomopora
という
11
後口動物は胚発生において陥入によってできた
原口
が口になる
前口動物
に対し、原口が口にならず新たに口が開く動物であり、かつては現在後口動物とされる棘皮動物、半索動物、脊索動物だけでなく、
触手冠動物
としてまとめられる
箒虫動物
苔虫動物
(外肛動物)、
腕足動物
、そして
毛顎動物
を含んでいた
233
238
。これはブルスカとブルスカ (1990)、メルグリッチとシュラム (1991)などによる形態形質に基づく系統解析でも、原口に由来しない口を持つだけでなく、原腸由来の中胚葉を持つことや腸体腔を持つことなどの形質からも支持されていた
238
。ほかにも、放射卵割を行うなど
75
、後口動物としての性質を多く持っている。しかし分子系統解析の進展により、触手冠動物および毛顎動物は前口動物に属すると考えられるようになった
75
221
196
。この変更以降も「後口動物」という系統群名を用いるが
239
240
241
242
242
243
244
245
、毛顎動物や腕足動物のような原口が口にならない動物も前口動物に含まれ
75
、単純に原口の有無が系統を反映しているわけではない。
水腔動物
編集
水腔動物
Coelomopora
歩帯動物
Ambulacraria
)は幼生の形態、三体腔性、軸器官などの形質を共有する
237
11
棘皮動物
は、成体が五放射相称、三胚葉性で、内胚葉由来の中胚葉(内中胚葉)を持つ
246
。腸体腔性の体腔で、体腔に由来する
水管系
と呼ばれる独自の構造をもつ
246
247
。神経系は中枢神経を持たず、神経環と放射神経からなるが、ウミユリ綱では神経節を持つ
246
ウミユリ綱
ヒトデ綱
クモヒトデ綱
ナマコ綱
ウニ綱
からなり、分子系統解析によりこれらのうちウミユリ綱が最も祖先的だと考えられている
246
247
。ウニ綱のうち
タコノマクラ
類やブンブク類では五放射相称が歪み左右相称性を示す
247
現生の
半索動物
はギボシムシ綱(腸鰓綱)とフサカツギ綱(翼鰓綱)からなり、化石では
フデイシ綱
が置かれる
248
249
250
。どちらも体は前体・中体・後体の3つの部分に分かれるという共通した形質を持ち、前者では吻・襟・体幹と呼ばれ、後者では頭盤・頸・体幹と呼ばれる
251
。ギボシムシ綱では腸体腔と裂体腔をもつとされるが、体腔形成には不明な点も多い
252
。ギボシムシ綱は側系統で、ギボシムシ綱のハリマニア科がフサカツギ綱と姉妹群をなし、フサカツギ綱はギボシムシ綱から小型化によって体が二次的に単純化したと考えられる
251
。半索動物は脊索動物と同様に鰓裂を持つ
250
253
。かつては口盲管という器官が脊索の一種と考えられたこともあったが
252
、口盲管と脊索との関係を支持する発生遺伝学的研究結果はなく
253
、現在では脊索を持たないとされる
250
脊索動物
編集
→「
脊索動物
」も参照
脊索動物
Chordata
頭索動物
尾索動物
(被嚢動物)・
脊椎動物
を含むクレードで、一生のうち少なくとも一時期に
鰓裂
脊索
およびその背側に背側
神経管
を持つという形質を共有する
250
254
。脊索は膨らませた細長い風船に喩えられる中軸器官で、脊索鞘という繊維質の頑強な膜に脊索細胞が包まれている
250
。頭索動物および尾索動物がもつ
内柱
は脊椎動物における
甲状腺
と相同で、甲状腺は内柱の変化したものと考えられている
254
。発生はさまざまであるが発生の一時期には肛門の後方に筋肉により運動する尾状部分があり、オタマジャクシ型幼生(
tadpole larva
)を経る
254
脊索動物は脊索と背側神経管という共通する二つの特徴をもつことから1つの門に置かれ、その中の3群は亜門に置かれてきたが、
佐藤矩行
西川輝昭
(2014)により、分子系統学的解析および3群がそれぞれ特徴的な形質を持つことに基づいて脊索動物をより高次の上門に置き、3群を門に格上げする考えが提唱された
250
255
256
以下の3つに分類される
11
254
250
脊索動物
頭索動物
:一生、全体長に渡って脊索を持つ。ナメクジウオの仲間
オルファクトレス
尾索動物:一生(オタマボヤ綱)ないし一時期に尾部に脊索を持つ。
ホヤ綱
注釈 34
オタマボヤ綱
タリア綱
ヒカリボヤ
ウミタル
サルパ
など)からなる。
脊椎動物
:脊索の周囲に脊椎が形成される。
無顎類
ヌタウナギ類
ヤツメウナギ類
軟骨魚類
硬骨魚類
条鰭類
肉鰭類
シーラカンス目
ハイギョ目
四肢動物
)からなる。
Olfactores
尾索動物と頭索動物はかつてまとめて
原索動物
と呼ばれていた
221
。ホヤ類と頭索動物はともに囲鰓腔を持ち濾過摂食を行うが、後者は肛門が独立して体外に開くことと雌雄異体であることで異なる
250
脊椎動物から
四肢動物
を除いたグループは伝統的に
魚類
と呼ばれ、
分岐分類学
的には四肢動物は硬骨魚類に含まれるため、
側系統群
となる
254
257
。同様に四肢動物は
両生類
爬虫類
鳥類
哺乳類
からなるが
254
257
、このうち爬虫類は
羊膜類
から鳥類と哺乳類を除いた側系統群である
254
258
分類の歴史
編集
アリストテレスの分類
編集
伝統的に諸民族で、生物は植物と動物に大別されてきた
。古代ギリシアの
アリストテレス
は『
動物誌
Περὶ Τὰ Ζῷα Ἱστορίαι
』などの著作において動物と植物の中間的存在を認めつつこの区分を採用し、感覚と運動の能力は動物にだけ見られるとし、
霊魂
の質的差異によって理論的に説明しようとした
259
。さらに動物を赤い血を持つ
有血動物
ἐναίμος
、現代の「脊椎動物」に相当)とそうでない
無血動物
ἀναίμος
、現代の「
無脊椎動物
」に相当)に二分し、発生様式と足の数を主要な基準として体系的に細分した
260
。アリストテレスは
リンネ式階層分類
とは異なり、全ての上位分類に「類
γένος
」を用い
260
、有血動物を人類・
胎生
四足類・
卵生
四足類・
鳥類
魚類
に、無血動物を軟体類(
μαλάκια
、現在の
頭足類
)・軟殻類(軟甲類、
μαλακόστρακα
、現在の
軟甲類
Malacostraca
に相当)・有節類(
ἔντομα
、現在の
節足動物
から
甲殻類
を除いた概念)・殻皮類(
ὀστρακόδερμα
、現代の
貝類
に加え、
ウニ
類、
ホヤ
類を含む)に分けた
259
260
リンネの分類
編集
動物界には、上記のような動物
が置かれるが、これは
カール・フォン・リンネ
の『自然の体系 第10版』(1758)において、属より高次の階級として置いた「
」に由来するとされる
11
。リンネは『自然の体系 初版』(1735)で動物を四足綱
Quadrupedia
、鳥綱
Aves
、両生綱
Amphibia
、魚綱
Pisces
、昆虫綱
Insecta
、蠕虫綱
Vermes
に分けた
261
。第10版では、初版の魚綱に含まれていた
クジラ
を四足綱に加え、哺乳綱
Mammalia
としただけでなく、
ヤツメウナギ
サメ
などが両生綱に含められた
261
『自然の体系 初版』(1735)
261
『自然の体系 第10版』(1758)
261
四足綱
Quadrupedia
ヒト形目
Anthropomorpha
猛獣目
Ferae
ヤマネ目
Glires
大獣目
Jumenta
畜獣目
Pecora
哺乳綱
Mammalia
霊長目
Primate
鈍獣目
Bruta
猛獣目
Ferae
吻獣目
Bestiae
ヤマネ目
Glires
畜獣目
Pecora
蹄獣目
Belluae
鯨目
Cete
鳥綱
Aves
ワシタカ目
Accipetres
キツツキ目
Picae
大嘴目
Macrorhynchae
ガンカモ目
Anseres
シギ目
Scolopages
キジ目
Gallinae
スズメ目
Passers
鳥綱
Aves
ワシタカ目
Accipetres
キツツキ目
Picae
ガンカモ目
Anseres
コウノトリ目
Grallae
キジ目
Gallinae
スズメ目
Passers
両生綱
Amphibia
ヘビ目
Serpentia
両生綱
Amphibia
爬虫目
Reptiles
ヘビ目
Serpentes
遊泳目
Nantes
魚綱
Pisces
平尾目
Plagiuri
軟骨鰭目
Chondropterygii
鰓条目
Branchiostegi
棘鰭目
Achanthopterygii
軟鰭目
Malacopterygii
魚綱
Pisces
無足目
Apodes
喉位目
Jugulares
胸位目
Thoracici
腹位目
Abdominales
鰓条目
Branchiostegi
昆虫綱
Insecta
顕翅目
Angioptera
半翅目
Hemiptera
無翅目
Aptera
昆虫綱
Insecta
鞘翅目
Coleoptera
半翅目
Hemiptera
鱗翅目
Lepidoptera
脈翅目
Neuroptera
膜翅目
Hymenoptera
双翅目
Diptera
無翅目
Aptera
蠕虫綱
Vermes
爬行目
Reptilia
有殻目
Testacea
植虫目
Zoophyta
蠕虫綱
Vermes
腸虫目
Intestina
軟体目
Mollusca
有殻目
Testacea
植石目
Lithophyta
植虫目
Zoophyta
リンネ以降
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このリンネが動物を分けた綱は
ジョルジュ・キュヴィエ
(1812) により "
embranchement
" (以下門と訳す)とされ、階級としての綱はその下位の
階級
名として残された
11
。キュヴィエの分類体系では動物を大きく
脊椎動物
門・
軟体動物
門・
体節動物
門・
放射動物
門の4群に分けた
262
。この階級を「門
Phylum
」としたのは
エルンスト・ヘッケル
(1866) で、脊椎動物門・体節動物門・軟体動物門・棘皮動物門・
腔腸動物
門の5門を認めた
11
かつて存在した動物門
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粘液胞子虫の一種
Myxobolus spinacurvatura
(ミクソゾア動物)
古鉤頭虫綱
の一種
Corynosoma cetaceum
(鉤頭動物)
サツマハオリムシ
Lamellibrachia satsuma
(有鬚動物;ハオリムシ動門)
イヌシタムシ
Linguatula serrata
(舌形動物)
研究の進行、特に分子系統解析の台頭により解体または他の動物門の下位に吸収された動物門も多く存在する。詳細は各項を参照。
腔腸動物
Coelenterata
Hatschek,
1888
現在は
刺胞動物
門および
有櫛動物
門に分割されている。かつては胃水管系を
腔腸
coelenteron
) と呼び、腔腸動物としてまとめられていた
178
。また
放射相称動物
Radiata
と呼ばれることもあった
37
。有櫛動物は、細胞器官である刺胞の代わりに1個の細胞が変形してできた膠胞を持つことや、上皮細胞の各細胞が2本以上の繊毛を備える多繊毛性であること、中胚葉性の真の筋肉細胞を持つこと、卵割は決定性卵割であること、複数の感覚器が放射相称的に配置される刺胞動物とは異なり1個のみを反口側に持つことなど、刺胞動物と大きく異なっており、しかも分子系統解析により腔腸動物が単系統とならないことがわかったので両者は別の門として分けられている
144
178
ミクソゾア
Myxozoa
Grassé
1970
原生動物の一群として扱われることもあったが、極糸が入った極嚢という構造が刺胞に似ており、分子系統解析の結果、現在では刺胞動物に含められる
176
144
263
。後生動物特有の細胞間接着構造や動物のみに存在する
Hox
ホメオティック遺伝子
を持ち、寄生性の獲得により二次的に退化した体制となったと考えられている
263
中生動物
Mesozoa
van Beneden
1876
現在は
二胚動物
門および
直泳動物
門に分割されている。
Édouard van Beneden
1876
) により
原生動物
後生動物
の中間に位置をする動物群として、ニハイチュウ(二胚動物)のみを含む群として設立され、のちに van Beneden (1882) にチョクエイチュウ(直泳動物)がこれに含められた
264
。その後様々な生物が含められたがその正体が
渦鞭毛藻
ミクソゾア
であることがわかり、除かれた
264
Kozloff (1990)
は、あるステージのニハイチュウ類はチョクエイチュウ類のそれに表面的には似ているが、それ以外の点においては明確に異なっているとして、これらを独立の門に置いた
265
一胚葉動物
Monoblastozoa
R. Blackwelder,
1963
1982年にアルゼンチンの岩塩から発見された1層の体皮細胞からなる生物であるが、存在が疑問視されている
266
袋形動物
Aschelminthes
taxon
inquirendum
偽体腔をもつ動物をまとめた「
ごみ箱分類群
wastebasket taxon」で、現在は
輪形動物
鉤頭動物
腹毛動物
線形動物
類線形動物
動吻動物
胴甲動物
鰓曳動物
内肛動物
に分割されている
39
。鉤頭動物・線形動物・類線形動物は
円形動物
としてまとめられたこともあった。
前肛動物
Prosopygii
Lang,
1888
箒虫動物
苔虫動物
腕足動物
、ほかにも
星口動物
および
フサカツギ類
などはかつてまとめて前肛動物と呼ばれ1門に置かれていた
267
268
。箒虫動物・苔虫動物・腕足動物の3分類群は現在でも触手冠動物として門より高次の分類群をなすことがある
11
鉤頭動物
Acanthocephala
Kohlreuther,
1771
現在は輪形動物に内包され、かつての狭義の輪形動物は側系統となる
153
。狭義の輪形動物および鉤頭動物を門として残し、現在の広義の輪形動物を
共皮類
(多核皮動物
224
Syndermata
とすることもある
153
有鬚動物
Pogonophora
Johansson,
1937
現在は
環形動物
門に内包されている
269
。狭義の有鬚動物(ヒゲムシ)と下記のハオリムシは体後端の体節構造および成体での消化管の喪失などの共有派生形質をもち、まとめて有鬚動物とする考えが主流であった
269
溝副触手綱
Canalipalpata
ケヤリ目
Sabellida
に含まれる
270
1科、
シボグリヌム科
Siboglinidae
となっている。
ハオリムシ
動物門
Vestimentifera
Webb
1969
現在は
環形動物
門に内包されている
269
。もともと上記の有鬚動物に含められていたが、ジョーンズ (1985) は体腔の構造の違いを重視し、独立した門に置いた
269
。しかし、当時よりSouthward (1988) のように反対意見も多く、上記のような共有派生形質を持つことから以降も有鬚動物とされることが多かった
269
。現在は上記のシボグリヌム科に含められる。
星口動物
Sipuncula
Rafinesque
1814
現在は
環形動物
門に内包されている
271
。分子系統解析により
フサゴカイ目
と姉妹群をなすことが分かった
271
ユムシ動物
Echiura
Newby,
1940
現在は
環形動物
門に内包されている
271
。分子系統解析により
イトゴカイ目
に内包されることが分かった
271
舌形動物
Pentastomida
Diesing
1836
現在は
節足動物
門に内包されている。魚類の外部
寄生虫
である
鰓尾類
と近縁であることがわかり
272
、21世紀以降は
ウオヤドリエビ綱
の中の1亜綱、
舌虫亜綱
Pentastomida
Diesing
1836
とされる
209
単肢動物
Uniramia
273
現在は
節足動物
門に内包されている。
昆虫類
および
多足類
を共通の性質を持つとして合わせ、
鋏角類
甲殻類
とともに独立した門とされることもあった
273
。しかし21世紀以降、昆虫は甲殻類と単系統群の
汎甲殻類
をなすことが明らかになっており
207
、もはや用いられない。
新しい動物門
編集
1960年以降に提唱され、現在も用いられている動物門を挙げる。詳細は各項を参照。
平板動物
Placozoa
Grell,
1971
1883年にオーストラリアの水族館で発見されたが、採集方法が確立し詳細な形態観察できるまで存在が認められなかった
269
。1971年に平板動物門が設立された
152
顎口動物
Gnathostomulida
Ax,
1956
アックス (1956) によって発見され扁形動物の1目として記載されたが、リードゥル (1969) により独立の動物門に移された
153
269
胴甲動物
Loricifera
Kristensen
1983
クリステンセン (1983) により記載された
269
有輪動物
Cycliophora
Funch & Kristensen,
1995
Funch & Kristensen (1995) により記載された
269
198
微顎動物
Micrognathozoa
Kristensen & Funch,
2000
2000年にグリーンランドの湧水から発見され、
担顎動物
門の一綱として記載された
274
珍無腸動物
Xenacoelomorpha
Philippe
et al.
2011
無腸類と皮中神経類を含む無腸動物とチンウズムシの仲間を合わせたクレードである
145
人間との関わりによる区分
編集
人間が野生動物(
原種
original breed
)から遺伝的に改良し、繁殖させて人間の生活に利用する動物を
家畜
(かちく、
domestic animal
)という
275
276
。これには哺乳類以外の鳥類・爬虫類や昆虫も含まれるが
276
、特に鳥類を
家禽
(かきん、
poultry
277
fowl
278
)として区別することもある
275
。また、広義の家畜は
農用動物
愛玩動物
実験動物
に大別され、このうちの農用動物のみを指して家畜 (
farm animal, livestock
276
) と呼ぶこともある
275
農用動物
編集
→「
家畜
」を参照
農用動物(家畜)は
畜産
に用いる
用畜
役畜
に分けられる
275
人間が畜産物を利用する動物を
用畜
(畜産動物)といい、
牛乳
ヤギ乳
など)、
牛肉
豚肉
鶏肉
など)、
羊毛
など)、
皮革
羽毛
などが用いられてきた
275
カイコ
ミツバチ
などの
昆虫
(節足動物)も用畜として利用される
275
。イギリスの
動物の福祉
の考え方はもともと畜産動物を対象として出発した
279
使役動物
編集
→「
使役動物
」を参照
人間が使役に利用する動物を
役畜
(えきちく)
275
使役動物
working animal
) という
279
。西欧の動物保護法は使役動物の保護から出発した
279
犂耕を行う
ウシ
(牛)や
ウマ
(馬)、
ロバ
などの
輓獣
や、
牧羊犬
盲導犬
などの
使役犬
がその代表例である
280
281
。特にウマは
ヨーロッパ
中世では
騎士
の乗物であり、力強く高貴な存在とされた一方、
農民
の所有物であり、牛よりも速く力強く犂耕を行う動物として用いられてきた
282
。そのため強力なエネルギーのシンボルとして、
馬力
horse power
) などの語にも用いられる
282
愛玩動物
編集
→「
ペット
」を参照
愛玩動物
pet animal
) とは、一般に家庭などで愛玩のために飼育されている動物で、特に愛玩飼育を目的として改良・繁殖が行われてきた動物をいう
283
実験動物
編集
実験動物
laboratory animal
) とは、実験を目的として飼育されている動物をいう
283
ラット
サル
モルモット
ハムスター
などに加え、
イヌ
ブタ
なども含まれる
284
ノックアウト動物
のように人為的に特定の
遺伝子
の働きを失わせたり、
トランスジェニック動物
のように他種の遺伝子を導入したりした実験動物(
疾患モデル動物
)が作られている
285
また、飼育系が確立されたり全
ゲノム解読
が行われたりすることで、他の生物にも共通する現象をより抽象化して論理的説明を行うために適した生物を
モデル生物
model organism
) という
286
。モデル動物には、
キイロショウジョウバエ
Drosophila melanogaster
(節足動物)や
エレガンスセンチュウ
Caenorhabditis elegans
(線形動物)、
カタユウレイボヤ
Ciona intestinalis
尾索動物
)や
ゼブラフィッシュ
Danio rerio
(脊椎動物)などが用いられている
286
展示動物
編集
展示動物とは、
動物園
で展示されている動物のように展示を目的として飼育されている動物をいう
283
後生動物以外の学術的な用法
編集
記事冒頭の通り、動物界(後生動物)を「動物」として扱うことが一般的であるが
、「動物」の語は学術的な場面でもほかの語義を持つことがある。
原生動物
protozoans
捕食や移動など、動物的な特徴を持った単細胞や群体性真核生物(非単系統群)に対する慣用名
287
二界説
の時代に動物界における原生動物門(または原生動物亜界 )
Protozoa
とされ、
鞭毛虫
類、
肉質虫
類、
胞子虫
類、
繊毛虫
類に細分されていた
287
動物プランクトン
zooplankton
プランクトン
(浮遊生物)のうち、
鞭毛
などにより運動性と持つもので、
原生動物
節足動物
橈脚類
鰓脚類
)、
輪形動物
を主とする
288
動物性機能
animal function
生体の持つ機能のうち、
運動
感覚
神経
相関の3つを指し、この働きに携わる器官を
動物性器官
animal organ
)と呼ぶ
289
。古くから人体
生理学
において、
栄養
成長
生殖
呼吸
血液循環
排出
などの
植物性機能
に対し、生体の対外的・能動的働きかけとしての
行動
系を実現することが多いため、「動物」の名を冠し呼ばれる
289
。植物でも動物性機能は多く見られるが、
医学
では現在でも用いられている
289
動物極
animal pole
動物の卵細胞や初期胚において、
極体
の生じる極、または重力と平衡な環境において上方に位置する極を指す
290
。これらは一致しないこともある
290
。この極の付近から上記の動物性器官(神経系・感覚器官・運動器官)が生じると考えられたためこの名があるが、そうでない場合もある
290
脚注
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脚注の使い方
注釈
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左上から順に、1段目:
ヒトデ
の一種(
棘皮動物門
星形動物亜門
ヒトデ綱
)、
クダカイメン
Aplysina fistularis
海綿動物門
)、
セイヨウダンゴイカ
Sepiola atlantica
軟体動物門
頭足綱
)、
2段目:
ミズクラゲ
Aurelia aurita
刺胞動物門
鉢虫綱
)、
の一種
Hypercompe scribonia
節足動物門
六脚亜門
昆虫綱
)、
ゴカイ
の一種
Nereis succinea
環形動物門
多毛綱
)、
3段目:
ヒレジャコ
Tridacna squamosa
軟体動物門
二枚貝綱
)、
シベリアトラ
脊索動物門
脊椎動物亜門
哺乳綱
)、
ホヤ
の一種
Polycarpa aurata
脊索動物門
尾索動物亜門
ホヤ綱
)、
4段目:
クマムシ
の一種(
緩歩動物門
異クマムシ綱
)、淡水産
コケムシ
の一種(
外肛動物門
掩喉綱
)、
ウツボ
の一種
Enchelycore anatina
脊索動物門
脊椎動物亜門
条鰭綱
)、
5段目:
カニ
の一種
Liocarcinus vernalis
節足動物門
甲殻亜門
軟甲綱
)、
鉤頭動物
の一種
Corynosoma wegeneri
輪形動物門
古鉤頭虫綱
)、
アオカケス
脊索動物門
脊椎動物亜門
鳥綱
)、
6段目:
ハエトリグモ
の一種(
節足動物門
鋏角亜門
蛛形綱
)、
ヒラムシ
の一種
プセウドセロス・ディミディアートゥス
Pseudoceros dimidiatus
扁形動物門
渦虫綱
)、
ホウキムシ
類のアクチノトロカ幼生(
箒虫動物門
ただし、真核生物の2019年最新の分類である
Adl
et al.
(2019)
では採用されていない。
古典ラテン語
の中性第三活用(i音幹)名詞
animal
is
複数
主格
明治
以前の日本では、中国
本草学
の影響により生物各群を草・虫・魚・獣などと並列的に扱うことが一般的であり、生物を動物と植物に大別することは西欧の学問の流入以降に普及した考えである
原生動物は
進化的
に異なる雑多な生物をまとめたグループ(
多系統群
)であり、
ミニステリア
などの一部の生物を除き後生動物とは系統的に遠縁である。
この「ランク」は流動的な分類群の実情に合わせ、
リンネ式階層分類
のように絶対的な階層をもたない
10
幼生中胚葉 (
larval mesoderm
) または中外胚葉 (
mesectoderm
) とも呼ばれる
36
真の中胚葉 (
true mesoderm
) または中内胚葉 (
mesendoderm
) とも呼ばれる
36
哺乳類
のように卵黄が僅かな場合は無黄卵(
alecithal egg
)と呼ばれる
73
中黄卵と呼ぶこともあるが、この語は中位の卵黄量を持つ
mesolecithal
にも用いられる
73
卵割腔も
blastocoel
と呼ばれ、区別されない
77
藤田 (2010)
では、分子系統解析によればこれらの動物門は最古の化石より10億年以上遡ると推測されている
127
とあるが、これは正しくない。
ガッコウチュウ
と呼ばれることもあるが
142
顎口虫
は線形動物の
寄生虫
Gnathostoma
にも用いられる
143
刺胞動物
有櫛動物
は外見が類似しているので
腔腸動物門
としてまとめられていたが、有櫛動物は刺胞がなく、上皮細胞が多繊毛性であり、決定性卵割であるといった刺胞動物との決定的違いがあり、しかも分子系統解析により腔腸動物が単系統とならないことがわかったので両者は別の門として分けられている
144
かつて扁形動物門に分類されていた
珍渦虫
無腸動物
を新たな門として立てたもの
145
。その系統的位置に関しては、左右相称動物の最も初期に分岐したとする説
146
147
と後口動物の一員であるとする説
148
149
がある。
脊椎動物・頭索動物・尾索動物の3門を亜門とし、まとめて脊索動物門とすることも多い。詳しくは
#脊索動物
を参照
直泳動物門と二胚動物門はかつて
中生動物門
とされており
151
原生動物
から後生動物に進化する過程であると過去には見られていたが、2010年現在では
寄生
生活により退化した後生動物(螺旋動物)であると見られている
152
鉤頭動物
Acanthocephala
は輪形動物に内包され、狭義の輪形動物は側系統となる。狭義の輪形動物および鉤頭動物を門として残し、広義の輪形動物を共皮類
Syndermata
とすることもある
153
星口動物
ユムシ動物
有鬚動物
は過去には門として立てられていた事もあるが、2018年現在は環形動物門の一部とみなされている
154
ギリベ (2016)
における系統仮説では有輪動物の系統位置が不明であり前口動物内に曖昧さをもって置かれるが、
ラーマーら (2019)
でははっきりと内肛動物との単系統性を示すため、これを反映した。また、ギリベ (2016) における系統仮説では苔虫動物と内肛動物が姉妹群をなすが、ラーマーら (2019) では苔虫動物と箒虫動物が姉妹群となり、それに腕足動物を加えた単系統群(
lophophorate clade
159
、触手冠動物
11
)が強く支持され、内肛動物はそれと姉妹群をなす結果はあるもののそうでない結果もあることから、ラーマーら (2019) の系統樹を優先して変更した。
後口動物の水腔動物と姉妹群をなすという結果もある
149
前口動物内での位置は未確定
11
158
だが、担顎動物に近縁という結果がある
159
前口動物内での位置は未確定
11
158
だが、吸啜動物に近縁
160
または環形動物に内包される
161
という結果がある。
前口動物内での位置は未確定
11
158
だが、吸啜動物に近縁という結果がある
160
螺旋動物は冠輪動物と呼ばれる事もある
11
。その場合本項の系統樹に登場する冠輪動物は担輪動物と呼び変えられる
11
2000年代の一部の
分子系統解析
(Giribet et al. (2001) など)では、
ウミグモ類
真鋏角類
大顎類
(ともに幹性類
Cormogonida
をなす)より早期に分岐したとされる
207
Sharma & Ballesteros (2019) などの分子系統解析により、
クモガタ類
カブトガニ類
に対して
多系統
の可能性が示唆される
207
この系統位置は2010年代中期以降の主流な解析結果(Oakley
et al.
(2013)、Schwentner
et al.
(2017, 2018)、Lozano-Fernandez
et al.
(2019) など)に基づくものである。それ以前の Regier
et al.
(2005, 2010) では
鰓脚類
多甲殻類
とともに
真甲殻類
Vericrustacea
カシラエビ類
ムカデエビ類
とともに
奇エビ類
Xenocarida
をなしている
207
209
ただし、螺旋動物のうち、触手冠動物の腕足動物などでは放射卵割を行い
75
、脱皮動物でも線形動物のように螺旋卵割を行うものも存在する
221
。かつては前口動物の持つ形質だとみなされていたが、おそらく螺旋動物の持つ共有派生形質である
75
和名は『岩波生物学辞典 第5版』(2013) に基づく
232
多くが科名の列記になっているのはそれらをまとめた高次分類群は未だ命名されていないためである
231
例外も多く、例えば尾索動物では後口動物ながら真体腔は裂体腔的に生じる。
ドリオラリア幼生
ウミユリ
、ナマコ)、
オーリクラリア幼生
ナマコ
)、
ビピンナリア幼生
ヒトデ
)、
オフィオプルテウス幼生
クモヒトデ
)、
プルテウス幼生
(エキノプルテウス、
ウニ
)などがあり、ドリオラリア型やオーリクラリア型のものが原始的であると考えられている
ただしホヤ綱は残りの両者を内部の別のクレードに含む側系統群
250
種名
編集
クダカイメン
Aplysina fistularis
カイロウドウケツ
Euplectella aspergillum
キタカブトクラゲ
Bolinopsis infundibulum
アトランティックシーネットル
Chrysaora quinquecirrha
複数種(
イシサンゴ目
センモウヒラムシ
Trichoplax adherens
Waminoa
sp.
ニッポンチンウズムシ
Xenoturbella japonica
アカヒトデ
Certonardoa semiregularis
ニセクロナマコ
Holothuria leucospilota
ナガウニ
Echinometra mathaei
腸鰓綱
の一種(未同定)
ナメクジウオ
Branchiostoma lanceolatum
Symplegma rubra
ウシ
Bos taurus
イソヤムシ
Spadella cephaloptera
ヤギツノトゲカワ
Echinoderes hwiizaa
エラヒキムシ
Priapulus caudatus
Pliciloricus enigmatus
ヒトカイチュウ
Ascaris_lumbricoides
Paragordius tricuspidatus
Hypsibius dujardini
Peripatoides indigo
ヨーロッパクロスズメバチ
Vespula germanica
オオズワイガニ
Chionoecetes bairdi
Rhopalura ophiocomae
ヤマトニハイチュウ
Dicyema japonicum
パンドラムシ
Symbion pandora
Gnathostomula paradoxa
コアゴムシ
142
Limnognathia maerski
カドツボワムシ
Brachionus quadridentatus
Lepidodermella squamata
Schmidtea mediterranea
無鉤条虫
Taenia saginata
ホタテガイ
Mizuhopecten yessoensis
ヨーロッパヤリイカ
Loligo vulgaris
オウシュウツリミミズ
Lumbricus terrestris
セイヨウカワゴカイ
Hediste diversicolor
ユムシ
Urechis unicinctus
スジホシムシ
Sipunculus nudus
ミサキヒモムシ
Notospermus geniculatus
ミドリシャミセンガイ
Lingula anatina
ホウキムシ
Phoronis hippocrepia
オオマリコケムシ
Pectinatella magnifica
スズコケムシ
Barentsia discreta
出典
編集
Shalchian-Tabrizi
et al.
2008
巌佐ほか 2013
, p.
994e.
動物
」『デジタル大辞泉(小学館)』
コトバンク
より2018年7月18日閲覧
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外部形態が非対称な動物の一覧
英語版
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シオマネキ
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